『発達の空白化』と向き合うとき、子どもは“発達脳”に切り替わる!

山崎憲治

山崎憲治

テーマ:子育て

『発達の空白化』と向き合うとき、子どもは“発達脳”に切り替わる。

〜なぞれなかった曲線が教えてくれた成長のスイッチ〜




昨日の年長児Aくんの話です。
その子は1時間近く、集中して「曲線をなぞる」課題に挑戦していました。

しかし、どうしてもカーブをうまくなぞれず、「ピュッ」と勢いよくはみ出してしまう。
本人は真剣。集中もしている。けれど、どうしても手が言うことを聞いてくれない。

結局、その日は曲線をなぞることはできませんでした。
それでも、その姿は普段の幼いAくんとは違う“集中”がありました。



■ 「なぞれない」は、単なる不器用ではない


この現象には、脳と身体の発達メカニズムが深く関係しています。
とくに注目すべきは「発達の空白化」という概念です。

本来、子どもは原始的な運動(這う・転がる・ぶつかる)や感覚体験を通して、
脳と身体の土台を築いていきます。これをすっ飛ばすと、感覚統合や視覚運動協調、衝動抑制などがうまく育ちません。

曲線をなぞれなかった子はまさに、
• 原始反射(ATNRなど)の統合不全
• 前頭前野の未成熟による抑制力不足
• 視覚と手の協調(視覚運動統合)の未熟さ
といった「見えない空白」が残っている状態だったのです。



■ でもそのあとすぐに本人もビックリ!驚くべきことが。


その挑戦の後、彼が取り組んだのは「数字のなぞり」。

それまでは苦手だった数字が――
スムーズに、迷いなく簡単になぞれていたのです。



■ 脳科学が証明する「できなかった時間」の意味


近年の脳科学研究では“うまくいかなかった挑戦”こそが脳を育てることが明らかになっています。

集中・失敗・再挑戦の過程で、
脳の「可塑性(神経回路のつながり直し)」が活性化し、前頭前野や小脳が強化されるのです。

つまり、できなかったこと自体が、発達脳へのスイッチを入れていたのです。



■ 行動心理学から見た「挑戦→達成」の連鎖


行動心理学では、**「成功体験」よりも「挑戦体験」**の方が、
モチベーションの継続と自己効力感(自分はできるという感覚)を高めるとされています。

さらに、「次はできた」という直後の成功が、脳内報酬系(ドーパミン)を強く刺激し、
次の学習や挑戦を加速する「好循環」を生み出します。

この子の例は、まさにその“成長の瞬間”だったのです。



■ 発達脳へのスイッチは、「できない」から始まる


私たちはつい、「できたかどうか」に目を向けてしまいます。

でも、本当に大事なのは「できるようになる過程」。
特に、自ら考え・失敗し・粘った体験こそが、
子どもたちの“発達脳”を目覚めさせるのです。



■ Sパワーキッズプログラムでは「育つ子」にどんどんスイッチON


Sパワーキッズプログラムでは、
こうした発達スイッチを引き出す原始運動・感覚統合・社会性の連動設計が組み込まれています。
• 原始反射の統合
• 体幹・前庭刺激・視覚協調のトレーニング
• 仲間と関わりながら挑戦し、感情を整える環境

失敗できる場所。
それが「発達の空白化」を乗り越える第一歩です。



■ まとめ:失敗を恐れず、挑戦を支える


「なぞれなかった曲線」は、無意味な時間ではありません。
むしろ、それがあったからこそ「数字がなぞれる自分」に出会えたのです。

私たち大人がすべきことは、
子どもの“できなかった時間”を信じ、見守ること。

そこにこそ“発達脳”への確かなスイッチがあるのです。



\失敗から始まる成長を、Sパワーキッズは応援します/



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参考資料

◆ 脳の発達・社会脳・前頭前野
1. 成田奈緒子(2020)『発達障害の子どもを伸ばす脳育てレッスン』講談社
 → 社会脳や発達脳の育成、原始反射や生活リズムの重要性を解説。
2. 久保田競・久保田カヨ子(2009)『子どもの脳を育てる』講談社
 → 前頭前野の発達と運動・感情制御の関係。
3. 前野隆司(2014)『「社会脳」で読み解く人間関係』筑摩書房
 → 社会脳という概念の脳科学的背景をわかりやすく解説。



◆ 原始反射・感覚統合・運動発達
4. Sally Goddard Blythe(2017)『原始反射を統合する 発達を支える運動』福村出版
 → 原始反射と学習・行動・姿勢との関係。
5. 中村和彦(2021)『発達障害の子を伸ばす感覚統合あそび』ナツメ社
 → 感覚統合の仕組みと遊びによるアプローチの解説。
6. Jean Ayres(著)『感覚統合と子どもの発達』学研
 → 感覚統合理論の基礎文献。



◆ 行動心理学・非認知能力
7. エレン・ランガー(2009)『マインドフル・ラーニング』ディスカヴァー
 → 注意力と学習・脳の働きに関する心理学的解釈。
8. 西郷孝彦(2020)『非認知能力の育て方』SBクリエイティブ
 → 子どもの挑戦意欲や協調性といった「社会脳」的資質の育成方法。



◆ 行政・教育現場資料
9. 文部科学省『幼児期運動指針』
 https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop08/list/detail/1408544.htm
10. 日本小児科医会『子どもとメディア』ガイドライン
 https://www.jpa-web.org/dl/pub/media_guideline.pdf



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山崎憲治
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山崎憲治(教育アドバイザー)

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独自開発の運動プログラムや学習プログラムで運動能力を伸し、やる気や集中力、脳の認知機能(理解・判断・記憶・思考等)を高めて学習することで学力も向上する文武両道実現。心身共に子どもの健やかな成長を育む。

山崎憲治プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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