相続税の課税原因と納税義務者(相続税2)
本来の相続財産
民法上、相続または遺贈によって取得した財産に対して、相続税が課されます。
相続財産には、物権、債権、借地権、借家権のほか、営業権のような法律の根拠を有しないものであっても経済的価値があるものを含みます。
つまり、「金銭に見積もることのできる経済価値のあるすべてのもの」が、相続財産となります。
本来の相続財産の具体例
土地、家屋、株式、預貯金、現金、貴金属、宝石、書画、骨董、自動車、立木、金銭債権、営業権、著作権など
みなし相続財産
本来の相続財産ではないけれども、経済的にみて相続や遺贈で財産を取得したものと同じ効果があるときには、相続や遺贈により取得したものとみなして相続税の課税財産とします。
相続または遺贈により取得したとみなされる財産
・生命保険金など
・退職手当金、功労金など
・生命保険契約に関する権利
・定期金に関する権利
・保証期間付定期金に関する権利
・契約に基づかない定期金に関する権利
・相続または遺贈により財産を取得しなかった相続時精算課税適用者の受贈財産
・贈与税の納税猶予の適用を受けている農地等の贈与者が死亡した場合の農地等
・非上場株式等の贈与税の納税猶予の適用を受けている経営承継受贈者の贈与者が死亡した場合の非上場株式等
遺贈により取得したとみなされる財産
・特別縁故者への財産分与
・低額譲受
・債務免除等
・その他の利益の享受等
・信託に関する権利
・特別の法人から受ける権利
生命保険金等
被相続人の死亡により取得した生命保険金等のうち、被相続人が負担した保険料に相当する部分は、相続財産とみなされます。
また、損害保険契約で、保険料負担者の偶然の事故による死亡を原因として損害保険金を受け取ったときは、みなし相続財産となります。
会社が保険料を負担し、従業員を被保険者として生命保険契約を結んでいる場合はどうなるのでしょうか?
このケースでは、保険料を従業員が負担したものとみなし、その保険金を従業員の相続人が受け取ったときは、みなし相続財産となります。
受取人が会社で、保険金を退職金に充てる場合には、退職手当金等として、みなし相続財産となります。