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井川卓

司法書士と行政書士の二つの資格を生かした相続問題解決のプロ

井川卓(いかわたかし) / 司法書士

司法書士・行政書士 アワーズ事務所

コラム

非課税財産、生命保険金の非課税限度額(相続税4)

2017年8月1日

テーマ:相続税

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 生命保険 種類生命保険 選び方相続税

非課税財産

相続や遺贈によって取得した財産であっても、公益性や社会政策的な見地または国民感情などから、税法上「相続税の課税価格に参入しない」と明文で定められているものがあります。
これが、相続税の非課税財産です。

非課税財産の内容

1. 皇室経済法第7条の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物
2. 墓所、霊びょうおよび祭具ならびにこれらに準ずるもの
3. 公益事業を行う者が取得した公益事業用財産
4. 条例による心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権
5. 相続人が取得した生命保険金などのうち一定の金額
6. 相続人が取得した退職手当金などのうち一定の金額
7. 国、地方公共団体または特定の公益社団法人などに贈与(寄付)した財産
8. 特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭

相続人が取得した生命保険金などのうち一定の金額

⑴被相続人の死亡により相続人または相続人以外の者が取得した生命保険金などのうち、被相続人が負担した保険料に対応する部分は、相続または遺贈により取得したものとみなされ相続税の課税対象となります。
そのうち、相続人が取得した保険金の一定額が非課税とされています。
非課税財産となるのは、相続人が取得した保険金に限られますが、この相続人は民法上の相続人です。

⑵生命保険金の非課税限度額
 生命保険金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数
 ※法定相続人の数の計算上、被相続人に養子がある場合の制限
  ・実子がある場合→養子のうち1人まで
  ・実子がない場合→養子のうち2人までを法定相続人の数に含める
 ※養子でも次の者は実子とみなされるので、養子の数から除く
  ・代襲相続人で被相続人の養子となった者
  ・特別養子縁組で養子となった者
  ・配偶者の実子で被相続人の養子となった者
 ※相続放棄をした者があった場合でも、法定相続人の数は相続放棄がなかったものとする

⑶非課税とされる金額
 ①すべての相続人の取得した保険金の合計が、保険金の非課税限度額以下である場合は、保険金の全額。
 ②すべての相続人の取得した保険金の合計が、保険金の非課税限度額を超える場合は、下記の算式により算出した保険金の額が各相続人の非課税額となります。
 生命保険金額の非課税限度額×その相続人が取得した生命保険金の額/すべての相続人が取得した生命保険金の合計額

⑷相続放棄をした者が取得した死亡保険金
 相続放棄をした者や相続権を失った者は、初めから相続人でなかったものとみなされます。
したがって、これらの者が生命保険金などを取得した場合は、相続人以外の者が取得したことになりますので、「遺贈」によって取得したことになります。
つまり、相続放棄をした者や相続権を失った者が遺贈によって取得したとみなされる生命保険金は、非課税の適用は受けられません。

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