非課税財産、生命保険金の非課税限度額(相続税4)
相続税の考え方
相続税については、大きく分けて以下の2つの類型があります。
①遺産税
・英米系の国々で採用されている。
・人が生存中に蓄積した富を、その人の死亡にあたって社会に還元するという考えに基づく。
②遺産取得税
・欧州大陸諸国で採用されている。
・遺産とは相続という偶然の機会に取得した不労所得と考えて、これに課税するとの考えに基づく。
日本では、明治38年の相続税創設時から、①の遺産税の立場であったが、昭和25年のシャウプ勧告によって②の遺産取得税の立場に移行しました。
現在の相続税は、純粋な遺産取得税ということではなく、遺産税の要素も含めて修正されています。
相続税と贈与税
相続税は、相続、遺贈または死因贈与によって財産を取得したときに課されます。
贈与税は個人から贈与によって財産を取得したときに課される税金です。
贈与税は、「相続税の補完税」といわれたりします。
被相続人が生前に相続人などに財産を贈与してもこれに課税されなければ、贈与をしなかった者と比べて税負担に不公平が生じることになります。
そこで、生前の贈与に対して贈与税を課すことによって、相続税で課されない部分を補完することになります。
相続税と贈与税は密接な関係にあるため、相続税法と言う1つの法律で規定されています。
相続税と贈与税の一体化
贈与税の税負担率は相続税よりも重くなっており、その結果まとまった額の贈与が抑制されてきました。
これに対して、高齢世代から若年世代へ資産の異同を促すという趣旨で、
①相続時精算課税制度(平成15年度改正)
②教育資金の贈与制度(平成25年4月1日施行)
③結婚・子育て資金の贈与制度(平成27年4月1日施行)
などが制度化され、課税の仕組みも「相続税と贈与税の一体化」が図られています。