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特別受益制度、特別受益者の相続分の計算方法(相続の基礎知識12)

井川卓

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テーマ:相続の基礎知識

特別受益制度

特別受益の制度は、相続人のあいだの公平を図ることを目的としています。
共同相続人のなかに特別受益者がいたり、寄与相続人(寄与分権利者)がいるときには、相続分が修正されることになります。

特別受益のみなし相続財産

共同相続人のなかに被相続人から
①遺贈を受けた者
②結婚もしくは養子縁組のため贈与を受けた者
③生計の資本として贈与を受けた者
がいるときには、その贈与分を加えたものを被相続人の相続財産とみなします。

「相続開始時の財産価額+贈与の価額=みなし相続財産」

特別受益者の相続分

みなし相続財産をもとに、それぞれの共同相続人の相続分を掛け算して持分を計算します。
特別受益者は、この持分からすでに受けた特別受益額を差し引いた残りが、実際の相続分となります。

「みなし相続財産×相続分の割合-遺贈・贈与の額=特別受益者の相続分」

用語解説

特別受益者・・上記の遺贈や贈与を受けた者
特別受益額・・その遺贈・贈与分
持戻し・・その贈与分を特別受益財産として被相続人の遺産に加えること

特別受益の計算例

Xが妻・Yと長男Aおよび長女Bを残して死亡した。
Xの相続開始時の財産は5000万円で、生前にAへ自宅購入資金として1000万円を贈与していた。
 Y=(5000万円+1000万円)×1/2=3000万円
 A=(5000万円+1000万円)×1/2×1/2=1500万円
   1500万円-1000万円(贈与額)=500万円(特別受益者の相続分)
 B=(5000万円+1000万円)×1/2×1/2=1500万円

贈与財産の価額

①受贈財産の滅失・き損
贈与によって財産を取得した者が、被相続人の生前にその財産を滅失させたり、その価額に増減があったときでも、その財産は持戻しの対象です。
 ただし、善意・無過失で滅失またはき損したときは、持戻しの対象とはなりません。
②持戻し財産の評価時期
 持戻し財産の価額は、相続発生時の価額に引き直して計算されます。

相続税法との違い

 相続税法上の「生前贈与財産の加算」では、相続や遺贈によって財産を取得した者が相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた場合に、その財産は相続税額の計算上相続財産に加算されます。
 相続時精算課税を選択していた場合には、その贈与金額は年限に関係なくすべて加算されます。

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井川卓
専門家

井川卓(司法書士)

司法書士・行政書士 アワーズ事務所

登記に関わる書類を作成する司法書士と、国や地方自治体などの行政機関に提出する書類を作成する行政書士の二種類の書士業の資格を持つため、別々の事務所に依頼することなくワンストップで相続に関する問題に対応。

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