相続開始の原因と場所、自然死亡、失踪宣告、同時死亡の推定(相続の基礎知識6)
相続制度や具体的な手続について理解するためには、相続とは何なのか?またどのような経緯で相続制度が形作られてきたのか?を知っておく必要があります。
私人間の財産関係や家庭関係の一般的な原則は、民法が定めています。
その民法における「相続」の定義や歴史、そして相続制度の存在理由についてみていきましょう。
1. 相続の定義
相続と何か?については様々な学説があります。
ここでは、実務上の知識として以下のように定義づけたいとおもいます。
「相続とは、人の死亡によって、その人(被相続人)に属していた財産上の地位を、被相続人の最終意思(遺言)または法律上の規定に基づいて、特定の者に承継させること。」
2. 相続法の歴史
⑴明治憲法下の民法
・明治憲法下の民法では、家制度に基づき長男が単独ですべてを承継する家督相続制度がとられていました。
⑵民法改正(昭和23年施行)
・戦後、新しい憲法の理念にしたがって、第4編「親族」、第5編「相続」の規定が全面的に改正されました。
・具体的には、配偶者の相続権強化が図られ、両性および相続人間が平等となるよう均等相続制が採用されました。
⑶その後の改正
①代襲相続制度、相続の限定承認、相続放棄などの見直し
②特別縁故者への財産分与の新設
③配偶者の法定相続分の引上げ
④寄与分制度の新設
3. 相続制度が存在する理由
⑴相続人の生活保障
・日本の国民は、原則として自分の努力によって自らの生活を成り立たせなければなりません。
被相続人が生前に扶養していた家族たちの生活を維持するためには、相続によって被相続人の財産をその家族に承継させる必要があります。
⑵被相続人の経済活動の承継
・売買や賃貸借などの契約の当事者が死亡することで、その契約自体も消滅してしまうと、その相手は困ってしまいます。
相続によって相続人がその契約上の地位を継承することにより、社会経済は円滑に機能し、取引の安全が図られることになります。
⑶相続人の潜在的持ち分の実現
・被相続人=父親の名義の財産であっても、他の家族構成員がその財産形成に貢献していることが考えられます。
その潜在的な持分を相続によって実現するという考え方です。
親族の種類、親等、親族の範囲について(相続の基礎知識1)はこちら
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婚姻と離婚そして内縁について(相続の基礎知識2)はこちら
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親子関係の発生、実子と養子(相続の基礎知識3)はこちら
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