民法と相続税法における「相続の取扱い」の違い(相続の基礎知識5)
親子関係の発生
親子関係は、出生によって発生する実子(自然血族関係)と人為的に発生する養子(法定血族関係)に分かれます。
1. 実子
・実子は、嫡出子と嫡出でない子(非嫡出子)に区別されます。
⑴ 嫡出子
①元来の嫡出子
・婚姻関係にある男女間に懐胎し出生した子をいいます。
・妻が婚姻期間中に懐胎した子は、夫の子と推定されます。
②準正の嫡出子
・婚姻関係にない男女の間に生まれた子は非嫡出子ですが、その父母の婚姻など一定の条件が加わることによって嫡出子となることをいいます。
⑵ 非嫡出子と認知
①嫡出でない子(非嫡出子)
・婚姻していない男女の間に生まれた子を嫡出でない子(非嫡出子)といいます。
②認知
・嫡出でない子の母子関係は、分娩(出産)の事実により認められます。
・父子関係は、父がその子を自分の子と認める意思表示(=認知)により生じます。
※従来、非嫡出子の法定相続分は嫡出子の2分の1とされてきましたが、平成25年の違憲判決を受けて民法が改正されました。
現在は、嫡出子と非嫡出子の相続分は等分です。
2. 養子
・養子縁組の手続によって、養親との間で法定の嫡出子としての身分を取得した者が養子です。
・普通養子と特別養子の2つがあり、特に特別養子は子の福祉のための制度です。
・普通養子は、実方(実の父母の側の親族)との親子関係は養子縁組後も継続するのに対し、特別養子の場合は実方との親族関係は養子縁組により終了します。
⑴普通養子縁組の要件
①養親が成年に達していること
②養親が養子よりも年長であること
③養子が養親の尊属でないこと
④夫婦が未成年者を養子とする場合は、夫婦共同で養子縁組すること
⑤夫婦の一方が成年者を養子とする場合は、他方の同意が必要であること
⑥15歳未満の者を養子とする場合は、その法定代理人の承諾を得ること
⑦未成年者を養子とする場合は、家庭裁判所の許可を得ること
(自己または配偶者の直系卑属の場合は不要)
⑵養子縁組の効果
①養子縁組の日から、養子は養親の嫡出子となること
②養子は養親の氏を名乗ること
③養子と養親及び養親の血族との間で親族関係が生ずること
④親族関係に基づき、扶養義務、監護・教育の権利義務(親権)、相続権が生ずること
親族の種類、親等、親族の範囲について(相続の基礎知識1)はこちら
http://mbp-japan.com/fukuoka/ours-office/column/11913/
婚姻と離婚そして内縁について(相続の基礎知識2)はこちら
http://mbp-japan.com/fukuoka/ours-office/column/11924/