相続手続きの相談は、どの専門家・士業者に依頼すればいいのか?
金融機関の相続手続が変わる
昨年(平成28年)末、金融機関の相続手続を大きく変えるできごとが2つありました。
そのうちの1つは、今年の5月29日から実施される、法定相続情報証明制度の創設です。
この制度については、5月9日付のコラムをご参照ください。
もう1つは、「預貯金を遺産分割の対象とする」との判例の変更です。
預貯金は遺産分割の対象
最高裁大法廷は平成28年12月19日、
「共同相続された普通預金債権、普通貯金債権及び定期貯金債権は、いずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となる。」
と、これまでの判例を変更しました。
判例が変更された理由
判例が変更される前まで、預貯金が遺産分割の対象外であったがために、相続人の間で不公平が生じることがありました。
不公平が生じるのは、以下の条件があてはまる場合です。
・遺産分割に争いがある
・主な遺産が預貯金
・特別受益や寄与分が絡んでいる
今回の判例変更によって、相続人間の不公平は是正されることになりました。
しかし、これによって生じた問題点もあります。
判例変更「前」の預貯金の取扱い
現金は不動産、動産、株式、投資信託など同様に、以前から遺産分割の対象でした。
一方で、預貯金は判例が変更されるまで、遺産分割の対象とはならず、当然に相続分にしたがって分割されるとの取り扱いでした。
そうすると、被相続人の預貯金について遺産分割協議をしなくても、相続人は自分の法定相続分を引き渡すよう求めることがでたわけです。
実務上は、金融機関から相続人全員の同意を確認できる書類を要求されることが多いようですが・・・。
判例変更「後」の預貯金の取扱い
しかし、昨年末の判例変更によって、預貯金も現金と同じように「遺産分割の対象」になりました。
金融機関は「遺産分割協議書」がなければ、相続手続きに応じることができなくなりました。
そうすると、被相続人の預貯金口座は、遺産分割協議が終了するまで凍結されてしまいます。
その間、葬儀や埋葬の費用、被相続人が生前に扶養していた相続人の生活費などに、これらの預貯金を充てることができません。
また、相続人の対立が深刻で、遺産分割が長期化した場合には、相続税の支払いにまで影響が出てくるかもしれません。
生前対策が重要に
ということで、遺産分割協議が終了するまでの間に必要な資金の手当てが必要になります。
例えば、以下のような対策が考えられます。
①相続開始後の支出用に、まとまった現金を用意しておく
⇒簡単な方法ですが、セキュリティ上の難あり。
②遺言書の作成
⇒遺言執行として必要な預貯金の引出しを規定する。
③遺言信託の設定
⇒相続開始後の費用に充てる資金を信託銀行に預託する。
④家族信託の設定
⇒扶養家族を受益者として賃貸不動産を預託する。
⑤生命保険の活用
⇒保険金受取人が保険金から必要な費用を支払う。
相続に関するお悩みは人それぞれ、有効な生前対策も人によって違ってきます。
司法書士・行政書士アワーズ事務所では、その方のご希望や環境をしっかりお聴きして、オーダーメイドの生前対策をご提案いたします。
このコラムをご覧いただいた方からの、相続に関するご相談は、初回無料です。
生前対策に限らずどんなことでも結構です、お気軽にご相談ください。
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