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清野隆(せいのたかし) / マンション管理士

マンション管理トータルサポート

コラム

管理会社の現場対応について ~貴管理組合は、どんな対応を望みますか~

2017年10月3日

コラムカテゴリ:住宅・建物

マンション管理会社は、2014年3月現在、2,320社が国土交通省から免許を受けています。管理組合への対応については多種多様ですが、大きく分けて2つのタイプに分かれると思います。一つは、マンションで事故、法定点検があれば、常に現地を確認し復旧工事、点検作業に立ち会いを行う「現地確認立会い型」、もう一つは、ほとんど現地確認を行わず、当然にして自ら動くことなく、協力業者に電話連絡するだけ「手配師型」です。

①現地確認立会い型の管理会社の特徴
以下、項目毎にどんな対応をしているか述べていきます。
ア)給水設備点検
貯水槽(受水槽、高置水槽)清掃の際は、担当者は作業開始から作業終了まで立会いをします。作業前は、警報を受信している管理会社本社、あるいは外部へ依頼している場合は警備会社に連絡します。作業中は、槽内の清掃を怠らずに行っているかを監視し、槽内に破損等の不具合箇所がないか、水槽廻りの配管に漏水箇所がないか点検を行います。その他、オーバーブロー管、通気口に取り付けてある防虫網に破損がないか確認をします。槽内の清掃、消毒が終了すると、槽内に給水をする際に、給水量、ボールタップと定水位弁の作動状況を点検します。また、排水ドレンバルブはしっかりと閉まっているか、排水口より漏水していないか確認します。その後、完全に給水が完了し定水位弁からの給水が停止したらマンホール蓋の施錠をします。
給水(揚水)ポンプの点検は、ポンプ作動時異音、異臭がしていないか、モーターと羽車の接続部分から漏水していないか、1・2号機が交互運転しているか、ポンプの原動機であるモーターは漏電(絶縁抵抗の測定)していないか点検します。その他、配線端子にゆるみがないか、配線まわりに焼け跡がないか、ポンプ外観の発錆状況等も点検します。
ポンプ廻りの配管から漏水していないか、逆止弁は、送り出した水が逆流しないように機能しているか確認します。
その他、貯水槽の満水(溢水)減水(渇水)ポンプ故障時、警報が発信するかテストをおこないます。
つまり、作業点検をすべて協力業者任せず、管理会社の責任として、自らの目と耳で確認し、最終的には、マンション居住者に「断水」等の生活の不便を与えないように努力しているのです。
イ)消防設備点検
給水設備点検同様、作業開始から作業終了まで立会いを行います。
作業前は、警報を受信している管理会社本社、あるいは外部へ依頼している場合は警備会社に連絡します。
消防設備点検の方法は、マンションによって設備の違いはありますが以下の概要通りです。
・各住戸に設置されている熱感知器は専用点検器具を使用して熱で炙り感知作動させ、煙感知器は専用点検器具で煙を発生させて感知作動させます。感知器作動後、警報が鳴動し自動火災報知機受信盤に表示されるか確認します。
・バルコニーに設置されている避難ハシゴは、ハッチ廻りは発錆していないか、ハッチの開閉はスムーズか、ハシゴは機能するか確認します。
・共用廊下に設置されている発信機は実際にボタンを押し警報音が鳴動するか、自動火災報知機受信盤に表示されるか確認します。
・消火器については、表示場所に設置されているか、内部の粉末は固まっていないか確認します。
・消火栓ポンプは、発信機を押した後、ポンプが作動し始めるか、消火栓から規定圧力で水が出るか確認します。
・その他、管理会社本社、警備会社へ警報が発信しているか確認します。
・連結送水管は、ボックスに発錆はないか、扉の開閉はスムーズにできるか確認し、10年に一度、耐圧試験(配管が規定水圧に耐えられるかどうか)を実施しなければなりません。
消防設備点検も給水設備点検同様、協力業者任せにしないことです。
ウ)排水管高圧洗浄
全国のほとんどのマンションで2年に一度の頻度で行われている排水管高圧洗浄は、各住戸の作業の際は、排水立管までホースを差し込んで洗浄しているか、使用するノズルは配管を傷つけないよう樹脂製を使用しているか、ホースをお部屋に運び入れる際は、居住者宅を汚したり、物を倒したりしないように気を配っているか監視します。作業後、排水テストを行い、スムーズに排水できているか確認します。
共用横引管は、全ての桝蓋を開けて洗浄しているか、下水本管への接続箇所まで洗浄を行っているか監視します。排水に不自然な流れ(逆流等)がないか、排水が滞留していないか確認します。当然にして、作業開始から作業終了まで立会いを行います。
エ)大規模修繕
工事着工から竣工引渡しまで立会いを行います。工程ごとに予定工期とおり進んでいるか確認し、仕様通りに作業を行っているか監視します。工期中に変更や事故が発生した場合は速やかに理事長へ連絡をします。工事中は、居住者への影響を第一に考え協力業者に指示を行います。
中間検査、竣工検査、タイル部分打診検査を行うのは当たり前です。
オ)日常点検
共用灯の点灯試験を行い、球切れ箇所は交換します。照明器具が故障している場合は、すぐに理事長に報告すると同時に協力業者へ現地確認と見積りを依頼します。また、消防設備中の表示灯(赤色灯)の点灯状態も確認し、球切れの際は交換します。
屋上に上り防水状態を確認します。防水シート・防水塗膜に膨れ、破損はないか確認します。
鉄部に発錆、腐食はないか確認します。
鋼製建具(鉄扉)の開閉はスムーズか確認し、状況によっては、開閉速度の調整を行います。
外壁、内壁、タイル部分にひび割れ(クラック)浮き、膨れがないか確認します。
給水(揚水)ポンプの作動状況に異状はないか、外観は発錆していないか確認します。
その他、諸設備に異状がないか確認します。
異状が認められた場合は、理事長へ状況を速やかに報告します。報告書等の資料作成、不具合箇所の写真撮影は担当者自身で行います。同時に、協力業者に連絡をし、担当者が現地で不具合状況を説明を行い見積りを依頼します。
カ)緊急工事
・断水
断水の状況を確認するため、現地急行します。同時に、協力業者に連絡をし、現地で一緒に確認し原因を究明し本復旧できない場合は、最低でも水が使用できるように仮復旧します。
・自動火災報知機の誤報
何が原因で誤報が起こるのか、協力業者から現地で説明を受けるようにします。
・落雷
どの電気系統が被害を受けたか現地に確認に行きます。協力業者に現地にきていただき、最低でも仮復旧できるように作業を依頼し復旧するまで立会いを行います。
・台風
どんな被害を受けそうか、予め予測し対策のための作業を行います。不測の事態に備え、会社内にて待機します。

②手配師型の管理会社の特徴
以下、項目毎にどんな対応をしているか述べていきます。
ア)給水設備点検
現地立会いを行うことはありません。
協力業者に作業前に管理会社へ連絡をさせ、作業終了後管理会社に連絡をさせるのみです。
現地確認をしないため、現地の状況は、協力業者からの報告書写真でわかる程度です。
イ)消防設備点検
現地立会を行うことなく、協力業者の電話連絡を受けるのみです。
ア)と同様、報告書で状況を知るのみです。
ウ)排水管高圧洗浄
現地立会を行わないので、どんな作業を行っているのか把握してないことがほとんどです。
エ)大規模修繕
ほとんど現地に行くことがないため、どんな工程で進んでいるのか、仕様通りに工事しているのか、わからないケースがほとんどです。
当然、中間検査、竣工検査、タイル部分打診検査に立ち会っておらず、協力業者任せです。
オ)日常点検
建物内を巡回するのみで、共用灯の交換は、居住者より連絡が入ってから行うか、管理員任せです。数日間、球切れし夜間暗いまま放置されたマンションを見たことはないでしょうか。
カ)緊急工事
・断水
協力業者に連絡するのみで、管理会社の担当者は現地に行きません。
協力業者からの報告書で原因を知るのみです。
・自動火災報知機の誤報
協力業者に連絡するのみで、管理会社の担当者は現地に行きません。
協力業者からの報告書で原因を知るのみです。
・落雷
協力業者に連絡するのみで、全て協力業者へお任せの状態です。
・台風
居住者からの連絡で状況がわかるのみです。
当然、出勤して会社待機は行いません。

私自身は、①の現地確認立会い型の管理会社に在籍していました。当初は、状況が全くわからないまま現地に行っていましたが、経験を積むことで知識、知恵を学ぶことができます。この経験から学習したことは、「できる、できない」の問題ではなく「やるか、やらないか」なんだということです。そして、得た知識、知恵がマンション居住者の快適なマンションライフの謳歌に貢献できるということでした。
②の手配師型は、言い換えれば「他人任せ」型ではないでしょうか。このタイプの管理会社から提出された報告書は、自身で撮影した写真、自身で作成したものではないということです。
「他人任せ」の管理でマンション居住者に快適なマンションライフを提供できるのか疑問です。

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