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清野隆(せいのたかし) / マンション管理士

マンション管理トータルサポート

コラム

軽視されがちな「消防設備」点検

2017年6月22日

コラムカテゴリ:住宅・建物

先日、イギリスの高層マンションで火災が発生し、不幸にも数人の犠牲者が出る大惨事となりました。私は、テレビニュース、新聞での情報しか知りえませんが、この火災で驚いたことは、火災報知器が作動せず、火災発生時に音響等で住民に有事を知らせる事ができず、避難が遅れたということです。もし、火災報知器が作動し火災の発生を住民に知らせる事ができたならば、早めに避難を行う事ができ、犠牲者を出さずに済んだかもしれません。
我が国で起きた過去の大火災では、多かれ少なかれ「消防設備」の不備があった事は事実です。具体的には、本来、避難通路になる場所に物が置かれていたため、通行障害、あるいは、開閉できる状態を維持しておかなければならない扉を開ける事ができず避難が遅れた、火災発生時には、噴射しなければならないスプリンクラーから水が出なかった、消防隊が使用する連結送水管にホースを差し込んだが水圧が足りず消火活動が遅れたなどがあります。消防設備が正常な状態であれば、「助けられた命」なのに消防設備に不備があるため「助けられた命を助けられなかった」という惨事を招いています。
確かに、火災は頻繁に発生するものではありませんが、発生すれば命を脅かす事態になることを居住者は認識しなければなりません。
消防法では、1年に1回の総合点検、6ヶ月に1回の機器機能点検を行うことが義務付けられています。そして、点検で不具合が発見されたらその設備は修繕しなければなりません。その他、居住者50人以上の建物については、消防設備について維持管理を行う「防火管理者」を選任しなければなりません。
万が一、火災が発生し犠牲者が出た場合は、マンションの管理者である「理事長」そして、「防火管理者」は、法的責任を負わされる可能性があります。具体的な法的責任とは、消防法に違反があれば行政罰が、民事上では、不法行為による損害賠償責任、刑事上では、業務上過失致死罪があります。しかし、適正適法に消防設備点検を実施し、消防設備の修繕を行い、常時、消防設備を良好な状態を維持できるよう努めていれば、法的責任は免れる可能性が高いと思われます。

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