【ご報告】産前産後ケア13年の歩み。「心ゆるり」が母子保健の全国表彰を受賞しました
「産後は休んだほうがいい」と言われても、退院した翌日から食事の支度が始まり、上の子の送り迎えが待っています。私はこれまで、休む間もなく走り続けるお母さんを数え切れないほど見てきました。しかし産後の体は、休ませなければ元には戻りません。
東洋医学では、産後の女性は最低でも一か月はゆっくり養生しなければ、出産で頑張った体は元に戻らないといわれます。ところが今の日本では、産婦人科医や助産師の減少もあり、体が回復しきる前に退院しなければならないのが実情です。私はその隙間を埋める場所をつくろうと考え、2013年に福岡県小郡市で産前産後サポートセンター「心ゆるり」を開設しました。産後ケアが市町村の努力義務となるより前のことです。
場所として選んだのは、元農家の空き家でした。資金が十分ではなかったので、家のまわりの木は自分でチェーンソーを持って伐採し、少しずつ改装していきました。真新しい設備が並ぶ施設ではありませんが、利用されたお母さんから、古民家でおばあちゃんの家に遊びに来た気分になる、と言っていただくことがあります。私が用意したかったのは立派な建物ではなく、ママという役割を少しだけお休みして、肩の力を抜いて深呼吸できる空気でした。
ここでは、24時間気の休まらないお母さんに代わってスタッフが赤ちゃんをお預かりします。その間にまとまった睡眠をとっていただき、温かい食事を召し上がっていただきます。デイサービス型、母乳育児相談型、ご自宅にうかがう訪問型を用意し、ご家庭の事情に合わせて選んでいただけるようにしています。施設には駐車場もご用意しており、上のお子さんを連れてお越しいただくこともできます。
産後にゆっくり休むことは、贅沢でも甘えでもありません。心と体が回復して初めて、赤ちゃんに向ける笑顔が戻ってきます。暗い表情で来られた方が、明るい顔で帰っていかれる瞬間が私にとって最上の喜びです。どうぞ、頑張りすぎてしまう前にお越しください。


