自然の造形美には敵わない――ガラスに刻む四季の流れ

松岡順子

松岡順子

テーマ:ガラスエッチングなど

自然の造形美には敵わない――ガラスに刻む四季の流れ


原稿を描いていると、毎回思うことがあります。
どんなにきれいな線を引こうとしても、自然の造形美にはかなわないということです。

葉っぱのギザギザひとつ、花びらの重なりひとつ。
その流れは、偶然と必然が見事に調和していて、人の手では再現できない完璧さを持っています。
「この美しさをそのままガラスに刻めたら…」そう願いながら、私は線を重ねます。

自然を“線の世界”に翻訳するということ


しかし、エッチングの原稿は、自然を完全に写すことが目的ではありません。
私たちがしているのは、自然の秩序を“線の世界”に翻訳する作業です。
桜の花びらの柔らかさ、朝顔のつるの軽やかさ、紅葉の葉脈のリズム、椿の凛とした存在感――
それぞれの特徴を、限られた線でどう表現するか。そこに、エッチングならではの美しさがあります。

四季を一枚のガラスに刻む挑戦


今回のデザインは「四季を感じる円形構図」。
春の桜、夏の朝顔、秋の紅葉、冬の椿を一枚のガラスに刻みます。
実際のサイズで描くと、椿や朝顔が大きすぎたり、紅葉が小さすぎたりしてしまうので、
自然のバランスを崩さないように、少しずつサイズを調整しました。
それでも、自然の完璧な流れには敵わない――その感嘆を胸に、線を選びました。

自然には勝てない。でも、その美しさを敬意を込めてガラスに刻む。
それが、私にとってのエッチングの魅力です。
ガラスの中に、四季の物語を感じていただけたら嬉しいです。

メモ:葉脈の秘密 ― 自然はフラクタル構造
葉っぱの葉脈は、太い主脈から細い側脈へと分岐し、さらに微細な網目を形成します。
この構造は「フラクタル」と呼ばれ、自然界に広く見られるパターンです。
フラクタルは自己相似性を持ち、どの部分を拡大しても似た形が現れるのが特徴。
人工的な線では、この複雑な階層構造を完全に再現することは困難です。

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松岡順子
専門家

松岡順子(ガラス工芸)

株式会社 クライミング

贈る相手や用途に合わせて、完全オリジナルで制作。世界にひとつだけのガラス作品で、特別な空間を演出します。

松岡順子プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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