【オンライン勉強会】『~NISAや確定拠出年金にも役立つ~ はじめての投資信託』
ファイナンシャルプランナー(FP)の久保逸郎です。
7月19日に国際通貨基金(IMF)が世界経済見通しを発表しました。
IMFは四半期ごとに世界経済見通しを発表しています。
今回は今年1月・4月に続く発表でしたが、6月23日に行われた英国のEU離脱の国民投票の結果を受けてのものなので大変注目されていました。
私自身は複数の国内大手運用会社の業務に関わって金融機関での講演などをしてきた経験がありますが、証券系は伝統的に過度なポジティブである気がします。
大抵いつも「これから上がる、上がる」という予想を立てます。
社内的にも前向きなアナリストなどが人気です。
今年年初にモーニングサテライトで今年の日経平均28000円なんていう飛び抜けて高い予想を立てていた方も、証券系運用会社の方でした。
メガバンク系は証券系ほどではありませんが、ややポジティブ傾向が勝ってしまっているように感じます。
そのため私自身はこの国際通貨基金(IMF)のような世界的な公的機関のレポートを一番重要視しています。
世界の経済活動に与える影響も大きいので、皆様も定期的にチェックをされてはいかがでしょうか?
国際通貨基金(IMF) 日本語版ホームページ
https://www.imf.org/external/japanese/
世界経済成長率は4月予想から0.1%の引き下げ
IMFは今回2016年の世界経済成長率を3.1%の予想としました。
これは4月発表から0.1%の引き下げになりますので、これだけを見てしまうと英国のEU離脱の影響は限定的ととらえられるかもしれません。
しかし、これには注意が必要です。
それは今回のIMFの発表は、英国とEUの今後の話し合いが上手くいき、新たな貿易協定が結ばれて経済障壁が大きくならないことを前提にしたものです。
そのためIMFは「しかし、依然調整段階であるため、潜在的な影響を数値化するのは極めて困難である」としており、今回の経済見通しを「良性の仮定」を反映したものとしています。
英国とEUの調整が上手くいかなければ、「よりマイナスの結果が生じる可能性も明らかに存在する」とリスクがあることにも触れています。
これから2年間の移行期間において、英国とEUがどのような新しい枠組みを作るかということには大変注意が必要になってきますね。
ロシア・ブラジルの見通しを大幅に引き上げ
今回の経済見通しでは先進国全体の見通しは引き下げられました(2016年3.2%→3.1%)が、新興国全体については4月の発表から維持されました。
(2016年4.1%、2017年4.6%)
とくにロシアが4月時点の予想から2016年は0.6%、2017年は0.2%大幅に引き上げられています。
これは原油価格の上昇によるものです。
ロシアは原油や天然ガスなどの資源輸出に依存した経済になっていますが、これらの価格が少しずつ上昇したことによって、GDPの低下は若干緩やかなものになるようです。
同じ理由からブラジルも2016年・2017年ともに0.5%の引き上げになりました。
本格的な原油価格の上昇にはまだ至っていませんが、底入れをしたという形で考えていいかもしれません。
中国の見通しは0.1%の引き上げ
中国については昨年貸出基準金利の引き下げが5回行われました。
また、昨年後半からの積極的な財政支出が功を奏してインフラ支出が増え、信用与信の伸びも加速しています。
英国との貿易や金融の結びつきは少なく、今回の英国のEU離脱の影響は限定的とされています。
4月の予想でも中国に関しては上方修正されており、さらに今回(7月)の予想でも0.1%の経済成長見通しの引き上げです。
中国に関しては講演などで悲観的な声を多く聞きますが、このようにIMFの見通しは悪くありません。
この機会に日本国内のメディアの中国に関する報道の偏りについて、ぜひ皆様に考えていただきたいと思います。
アベノミクスへの厳しい評価は変わらず
日本の経済成長率は0.2%引き下げられ、2016年は0.3%の経済成長の見通しとされ、4月時点に続いての引き下げとなりました。
参議院選挙で与党が圧勝したので、今後もアベノミクスが継続されるわけですが、世界の日本に対する見方は大変厳しいものです。
2017年については4月のマイナス成長(-0.1%)の予想から0.2%引き上げられて、なんとかマイナス成長は免れる予想になっていますが、IMFはこの理由を「消費税率の引き上げの再延期」としています。
けっして前向きな理由ではありません。
投資の収益は「成長の果実」ですし、株価などは経済成長の結果として上がっていくものです。
日本の潜在成長力は年々下がっていて、今は0.5%程度と言われています。
成長しないところに投資をしてもなかなか増えませんから、収益を狙うならやはり海外に視線を向けないといけません。
為替ヘッジのある商品なども活用するなどして、上手にリスクコントロールをしながら、少しずつ海外資産を増やしておいたほうがいいと思いますね。
今回のIMFの世界経済見通しの解説や、この投資環境でお金をふやしていくためにはどうしたらいいのかなどについては、今週23日の勉強会でお話ししますので興味ある方はご参加ください。
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