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10月から住宅ローン変動金利の「基準金利」が引き上げられます

松股善治

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テーマ:住宅ローン選び

基準金利とは?

西日本新聞で
「住宅ローン変動金利引き上げ 九州の地銀 来月から相次ぐ」(9/26、朝刊)
「変動型住宅ローン金利 大手5行が引き上げ 来月から」(9/27、朝刊)
との見出しで、住宅ローンに関する記事が続けて掲載されました。
なお、銀行が住宅ローン変動金利の基準金利を引き上げるのは17年ぶりのことです。

記事では、九州の地銀も大手5行も10月1日付で変動金利の基準金利を0.15%引き上げるとしています。
主な地銀としては西日本シティ銀行が2.725%から2.875%へ、福岡銀行が3.075%から3.225%に引き上げることを公表しています。

なお、引き上げられるのは「基準金利」です。
ここで「基準金利」について簡単に説明をします。

銀行の住宅ローン変動金利の「基準金利」は、各銀行が短期プライムレートに基づいて独自に決めます。
7月の金融政策決定会合で、日銀が政策金利を0.25%程度引き上げることを決定したことから各銀行は短期プライムレートの引き上げを発表していました。
住宅ローンの「基準金利」は毎年4月1日と10月1日に見直されるので、今回は短期プライムレートが引き上げられて初めての見直しとなります。

なお借入者の信用力や取引状況などによって、「基準金利」から優遇幅を決めて引き下げられた金利を「適用金利」といいます。
みなさまがよく聞く「0.4%や0.7%」などの金利は「適用金利」なのです。

よって金利を価格に例えると、基準金利は「定価」、適用金利は「割引価格」だと言えるでしょう。

基準金利の引き上げで何が変わるのか

まず、住宅ローンを変動金利で借りて現在返済中の人は、今回の基準金利引き上げによって現在適用されている金利が引き上げられます。
基準金利が0.15%上がるので適用金利も0.15%上昇、例えば福岡銀行や西日本シティ銀行で借りて現在0.725%の金利が適用されていれば、今後は0.875%の金利が適用されるのです。
金利の適用時期は翌々月(12月)の返済後から、よって来年1月の返済分から0.875%の金利が適用されることとなります。

しかし返済額の見直しは5年に1度(初回は借りてから4年と数ヶ月後)なので、次回の見直し時期まで今の返済額は変わりません。
返済額は変わりませんが、返済額のうち利息割合が増えるので元金が減るペースが鈍化してしまいます。
そして元金が減るペースが鈍化したまま返済額の見直し時期がくれば、返済額が引き上げられるのです。
それはその時点の元金と残期間によって計算されます。

なお、これから借りる人、10月以降に変動金利で借りる予定の人はどうなるのでしょうか?
基準金利が引き上げられたので適用金利も引き上げられる可能性が高いでしょうが、銀行によっては「割引幅を拡大して、10月以降も今と同じ金利からスタートする」ということも考えられます。
10月以降、銀行間で住宅ローン顧客の争奪戦が激しくなれば、そのような可能性もゼロではないでしょう。
地方銀行や都市銀行は分かりませんが、おそらくネット銀行ではそのような銀行が出てくるのではないかと予想しています。

今後の金利動向が心配な人はシミュレーションを

先日、当社のサイトを見た人が住宅ローンの相談のために来社されました。
これから土地を買って注文住宅を建てる予定とのことでしたが、住宅ローンについて
「①ハウスメーカーからすすめられた銀行かネット銀行か?」
「②変動金利か固定金利か?」
「③フラット35で借りた場合の金利割引(子育て支援など)はどれくらいか?」
「④変動金利で借りて返済途中で金利が上がった場合のシミュレーション」
「⑤返済途中でいつの時期にいくら一部繰り上げ返済をしたら、返済期間がどれくらい短縮されるか?」
など、詳しく聞かれました。

④と⑤については何通りかのシミュレーションをして、借入当初から最終回までの返済予定表を作成。
説明をするとともに印刷してお渡ししましたが、先日ある銀行に行って相談した時はここまで詳しく説明されなかったとのことで、喜んでいただくことが出来ました。

住宅ローンは長年かけて返済するものなので、これから住宅ローンを取り組む人にとって特に今の時期は、様々なパターンでシミュレーションをしてみることはとても大事なことだと言えるでしょう。

まとめ

今回の変動金利の基準金利上昇は、7月の政策金利引き上げの影響によるものです。
なお、アメリカのFRB=連邦準備制度理事会が先日政策金利を0.5%引き下げることを発表したからか、9月の日銀の金融政策決定会合で政策金利は据え置かれました。
今後の金利動向については、引き続きアメリカをはじめとする世界の経済情勢を注視しなければならないでしょう。

現在変動金利で返済中の人で今後の返済状況が気になる場合は、金利が上がった場合に利息割合や返済額がどうなるのか、詳しくシミュレーションをしてみることをおすすめします。
これから住宅ローンを取り組む人は、変動か固定か、これまでよりも詳しく比較するようにしましょう。

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松股善治
専門家

松股善治(住宅ローンコンサルタント)

株式会社福岡MPオフィス

30年以上にわたって住宅ローン実務に携わってきた経験と豊富な人脈から、各金融機関の審査規定と金利情報に精通。住宅ローン審査・選び方に不安がある人をサポートします。対応エリアは福岡県および隣接県。

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