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日銀のマイナス金利解除の行方は?
先日開催された日銀の金融政策決定会合で、現状のマイナス金利解除は見送りとなりました。
ただし専門家の間では、3月か4月の決定会合で解除されるのではないかとの見方も出ています。
もしも解除されれば政策金利が上がり、その影響で短期プライムレート・住宅ローンの変動金利の上昇が考えられます。
マイナス金利解除のための重要なポイントの一つは、企業がどの程度の賃上げを実施するかだと思われます。
現在変動金利で住宅ローンを返済中の人や、これから住宅ローンの取り組みを考えている人は、今後の日銀の動向に注目しておくべきでしょう。
変動金利の仕組みを再確認しておこう
変動金利の仕組みについて押さえておきたいポイントは主に次の3つです。
①金利の見直しは年に2回
②返済金額の見直しは5年に1度
③返済金額上昇の場合でも上昇率は125%まで
これらについて解説をして、変動金利が上昇した場合の返済シミュレーションを提示していきます。
①金利の見直しは年に2回
多くの銀行で変動金利は年に2回(主に4月1日と10月1日)に見直されて、その翌々月から適用されます。
その際に金利が上昇していた場合、返済金額は5年に1度の見直しの時まで変わりませんが、返済金額の中で利息と元金の内訳が変わります。
適用金利が上昇すれば、利息の割合が増えて元金の割合が減るのです。
(イメージ)
そして5年に1度の返済金額見直しの時に元金の減り具合が予定より少ないと、次回の返済金額が引き上げられることとなります。
②返済金額の見直しは5年に1度
変動金利で取り組んだ住宅ローンの返済金額は、5年に1度のペースで見直されます。
ただし銀行側で見直す月を決めており、借入をした月によっては最初の見直しがちょうど5年後ではなく4年と数ヶ月後になることがあるので注意してください。
ここで、当初3,000万円を0.775%で借入をして、返済中に金利が上昇した場合のシミュレーションです。
例えば金利の見直しで3年7ヶ月後に金利が0.2%アップして、さらにその半年後に0.2%アップしたとします。
そして最初の借入からちょうど5年後に返済金額が見直されたとします。
すると次の表のとおりとなります。
適用金利が0.775%だった時の返済金額は毎月81,576円でした。
3年7ヶ月後(返済回数43回目)で金利が0.2%上昇しましたが、返済金額は変わっていません。
ただし前月より利息の割合が増えて元金の割合が減っていることがお分かりいただけると思います。
その半年後(返済回数49回目)も同様です。
そして返済から5年後(返済回数61回目)には返済金額が見直されて86,822円に上がっています。
適用金利の上昇により、当初の予定より元金の減り具合が鈍化したからです。
以降、適用金利の見直し時期の金利の上昇や下降によって利息と元金の内訳が変わったり、返済金額が変わることとなります。
ここでは金利上昇のケースでシミュレーションをしましたが、その後金利が下がれば逆の展開となるのです。
③返済金額上昇の場合でも上昇率は125%まで
変動金利にはこのような定めがありますが、現実的にはそこまで返済金額が上がることは考えにくいと言えるでしょう。
どのような場合にそうなるかというと、例えば先ほどの当初3,000万円・適用金利0.775%・借入期間35年のケースで、借りて最初の金利見直しから半年ごとに毎回0.2%ずつアップしてそれが5年間続いたとします。
その計算でいくと、5年後の返済金額の見直しの時期には2.575%まで跳ね上がっています。
(日本の景気は絶好調で多くの人の賃金が今とは比べ物にならないくらい上がっているかもしれません)
そうなると5年後の返済金額の見直しでは、これまで81,576円だった返済金額が本来なら109,632円(概算、134%)であるところ、125%の101,970円になるのです。
月あたり約7,600円の差額は、そのまた5年後の見直しの返済金額で調整されます。
例えばの計算ですが、現実的には考えにくいことがお分かりいただけたでしょうか。
まとめ
変動金利の仕組みについて押さえておきたい3つのポイントについて解説をしました。
ちなみに借入金額3,000万円・35年返済を1.5%の固定金利で借りたら毎月の返済金額は91,855円です。
事例の変動金利0.775%の返済金額より1万円以上高い計算です。
固定金利・変動金利のどちらがよいか、何十年にもわたって返済するローンなので断定的な回答はありませんが、保険の意味で毎月の返済金額を安定させたい人は固定金利を選ぶでしょう。
またこれから変動金利で借りようとしている人は、金利がいくらか上昇しても家計に余裕がある範囲の返済金額になるような借り方をすることをおすすめします。
そして現在変動金利で返済中の人は、これからの金利上昇が心配であれば固定金利に借り換えるという手段もあります。
ただし借り換えは、以前私が以下のコラムで書いたようなデメリットがあることを理解のうえで考えていただければと思います。
https://mbp-japan.com/fukuoka/fmp-office/column/5147978/