自分で作ることの楽しさと思い出

佐々木康仁

佐々木康仁

テーマ:教育・ICT教育

ゲイラカイトの思い出

「自分で作ればいいじゃないか。」

親父のその一言が、私の人生を変えたのかもしれません。
今から50年以上前、冬休みやお正月が近づくと、必ず凧を作って飛ばしていました。
ただ、正確に言えば、あまり飛ばなかったのです(笑)。

図鑑に載っているさまざまな凧の作り方を参考にしながら、何度も自作しました。
でも、出来上がった凧を空に放つと、うまく飛ばずに落ちて壊れる。その繰り返しでした。

そんなある日、弟が「ゲイラカイト」という商品を手に入れました。
それは今までの凧とは全く違い、走らなくても風を受けてスルスルと空高く上がっていくのです。
その光景に衝撃を受けた私は、すぐに自分も欲しくなりました。しかし、当時の私にはその高価なゲイラカイトを買う余裕がありません。

そんな私の様子を見ていた親父が、ふと一言。

「自分で作ればいいじゃないか。」

「えっ、自分で作る?」

と驚く私に、親父は弟のゲイラカイトをじっと見ながら、家にあったビニール風呂敷や細い角材、接着剤などを使ってゲイラカイトのような凧を作ってみせました。
そして、裏の空き地に行き、それを実際に飛ばしてみると……なんと、めちゃくちゃよく飛ぶではありませんか!
ただし、風が強すぎたり、地面に落ちたりするとすぐに壊れてしまう「ゲイラカイトモドキ」。
それでも、「自分でゲイラカイトを作れる!」ということが嬉しくて、その後は何度も作っては壊し、また作り直して飛ばす、という日々を楽しんでいました。

その頃から、親父は角材を削って船を作ったり、竹で竹とんぼを作ったりと、いつも「買わなくても作ってしまう」人でした。
そんな親父の背中を見て育ったせいか、「自分で作る」「自分で直す」ことは、私にとって自然な習慣となっていきました。

現代だからこそ大切な「自分で作ること」

振り返ると、あの頃の経験が私の人生に大きな影響を与えています。
ただ物を作るだけでなく、創意工夫を楽しみ、試行錯誤を繰り返す姿勢。
それは現代社会でも、ますます重要なスキルだと感じています。

今の時代は、便利で高性能なものが簡単に手に入ります。
でも、そんな時代だからこそ、自分の手で何かを作り上げる体験には、特別な価値があります。
それは「物を作る楽しさ」だけでなく、「自分で何かを生み出せる」という自信や、「新しいことに挑戦する自由」を得られるからです。

子どもたちにも、今の時代の「ゲイラカイト」にあたるものをただ与えるだけではなく、「自分で作る楽しさ」を伝えられたら、どれほど素晴らしいでしょうか。
初めて自分の作った凧が飛んだときの感動や、壊れた凧を修理して再び飛ばせたときの達成感。
それらは、未来を担う子どもたちの創造力やチャレンジ精神を育てる土台になると思います。

現代には、DIYやクラフト、さらにはプログラミングや3Dプリンティングといった新しいモノづくりの手法が溢れています。
どれも「自分で作る」楽しさを現代版にアップデートしたものです。
どんな時代でも、この楽しさは色あせることなく、人々の心に響き続けるでしょう。

私にとって、あの「ゲイラカイトモドキ」を作った日々は、単なる思い出ではありません。
それは、何度失敗しても諦めず挑戦することの大切さを教えてくれた原点です。
そして、その経験は今の私を形作っています。

これからも、「自分で作ることの楽しさ」を伝え、試行錯誤の素晴らしさを多くの人と分かち合っていきたいと思います。

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佐々木康仁
専門家

佐々木康仁(ITコンサルタント)

株式会社CNCコンサルティング

対面と非対面を組み合わせた独自のマーケティング手法、ChatGPTを活用するための基礎的な講習、小学校などでのICT教育支援を事業の柱とする。数々の職業を経験し“現場感覚”でサポートできるのが強み。

佐々木康仁プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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