「戦前の囲炉裏を、雰囲気はそのままでコレクションテーブルにできませんか?」
「結婚時に買った三面鏡を作り変えて娘に持たせたいです。」
「できれば、現代的でおしゃれなスライルミラー(姿見)にして、娘に贈りたいのです・・・。」
と、西条市・Ⅰ様からお問い合わせをいただきました。
リノベーション作業前/ご持参いただいた三面鏡と図面作成
この写真は、Ⅰがご持参してくれた三面鏡の鏡の部分です。この三面鏡の中央の鏡を取り外して適切にカットの上、新しく作るスタイルミラー(姿見)のフレームに取り付けることになりました。
私がⅠ様へご提案したのが、この仕様図です。
TOKI家具館メンテナンスでリノベーション作業をする場合、当初の形と作業後の形が極端に変わる場合、仕様図を書き、できるだけわかりやすいよう説明をしています。
リノベーション作業中①/木取り・仕口(接合部)の加工
I様のスタイルミラー(姿見)は、私たちが一番良く使っている北海道産の栗を使います。
栗の木から、横切り盤・昇降丸のこ盤・手押しかんな盤・自動かんな盤などの動力機械を使い木取り作業をしました。
続いて、仕口(接合部)の加工をしました。
今回は、ドイツ製フェスツールさんのドミノジョイントにて作業しました。
私が持っているのが、ドミノジョイントカッターです。
このジョイントカッターは集塵機が取り付けできるため、他のものと比べてよりきれいな加工ができます。
仕口(接合部)の加工ができた状態です。写真右に置いているのが、ドミノジョイントカッターです。
ドミノジョイントは、ビーチ(ブナ)材を楕円形に圧縮したドミノチップのため、1個でかなりの接着力が出ますし、ダボ接合だと2個を使用しないとクルクル回ってしまいますが、ドミノチップだと1個で十分なんです。
リノベーション作業中②/圧着作業・研磨作業
続いて、愛用のソマックス製T型クランプにて、フレーム全体の圧着作業をしました。各クランプ類は、私たちが他の仕事をしている時もず~と押さえ続けてくれる本当に便利な道具たちだと想います。
圧着作業は、その都度、適切な当て木を用意して挟み込むのがポイントです。
鏡やウラ板を取り付けるヶ所も事前に加工しています。
約12時間の養生時間をおいて接着剤が完全乾燥しますと、フレーム全体の研磨作業へと移りました。
このような、小さめの家具の研磨には、リョービ製ミニサンダーがとっても役に立つんです。
研磨紙は、#100 → #240 の番手を使って研磨しました。写真ではわかりませんが、とってもツルツルになってるんですよ・・・。
リノベーション作業中③/塗装作業・組立作業
I様のスタイルミラー(姿見)は、クラフト感を出すために、植物性オイル仕上げを選びました。
私たちが、永年愛用している植物性オイルは、ドイツ製のオスモ&エーデルさんのオスモカラーです。
今回は、ナチュラル仕上げとしますので、#1101(エクストラクリアー)→ #3101(ノーマルクリア)の2回塗りで仕上げます。写真左手前に置いているのが、今回使う塗料缶です。
塗装作業は、植物性オイル仕上げでもウレタン樹脂塗装でも、内側などの塗りにくい部分から塗り始めるのがポイントです。
全てが塗り終わると、完全に拭き取り、桟木の上で約12時間養生しておくと完全乾燥します。
2回の植物性オイル仕上げが完全乾燥した状態です。
鏡は、ガラス専門店様にて図面通りに切っていただきました。この鏡は、面取り加工がされていましたので、カット作業がむつかしいため専門業者様にお願いしたのです。
写真右が、今回リノベーション作業させていただいたスタイルミラー(姿見)で、写真左が、お預かりした三面鏡から必要ヶ所を取り外した残りです。
スタイルミラー(姿見)の上部です。フレームのタテ桟木と横桟木には、少し段差を付けてボリューム感があるデザインにしています。
スタイルミラー(姿見)ウラ面は、安全対策で紐やゴムを取り付けています。
脚のウラには、スベリ止め用のゴム脚を取り付けています。
リノベーション作業後/スタイルミラー(姿見)が完成しました。
このような作業工程を経て、三面鏡の鏡がスタイルミラー(姿見)に大変身しました。
「このデザインのスタイルミラー(姿見)になれば、娘も喜んで使ってくれます。」
とありがたいお言葉も、I様からいただきました。
I様、ご依頼いただきありがとうございました。土岐泰弘
「リノベーション家具製作に力を入れています。」
リニベーション家具とは、私が考えた造語です。
本日ご紹介のI様のように・・・
「永年使って愛着ある家具を、子どもさんが喜ぶ形に作り変えて贈りたい・・・。」
というお問い合わせが増えています。
特に、ウッドショックという、今までに聞いたことがない事態になってしまった現在、日本でキッチリと作られた木製家具は貴重だと想います。
私が想うリノベーション家具とは、現在お使いの家具に大小さまざまな加工を加えて、サイズや用途、仕様変更など手を加えて・・・
① 今、必要な家具に作り変える!
② 少しでも便利に、楽になるよう作り変える!
③ 再資源化して一度材料に戻し、必要な家具に作り変える!
などなど・・・。
SDGs(持続可能な開発目標)の時代にピッタリの仕事だと想い、「リノベーション家具」の名称を、ただいま特許庁に商標登録出願中です。
「家具で困っている・・・。」
という方がおられましたら、お気軽にお問い合わせください。
最後までお読みいただきありがとうございました。土岐泰弘