「作れるかどうか、ちょっと話を聞いてください・・・。」」
「練り物大好き」の私が1ヶ月に1回は買い物に行っているのが、西条市三津屋・国道196号線沿いの “かまぼこの山田屋” 様です。
https://www.sumaki-no1.net/
昨年の秋に買い物にお邪魔したときのこと・・・
「かまぼこを作る時の棚なんですが、こんなの作れますか?」
とお問い合わせをいただきました。
下の写真は、この時に見せていただいたものです。
後日、お邪魔した時は、実際にかまぼこを乗せているところを見ることができました。
TOKI家具館メンテナンスでは、これまでいろいろな家具を作ってきましたが、食べ物の調理用の棚の製作は未経験です。
こんな未経験のことにチャレンジする時に、大切にしていることは・・・
初めにサンプルを作ってみて、実際に使っていただき、感想をお聞きし、本番製作に望むことです。
そこで、今回はサンプル分の製作についてご紹介いたします。
かまぼこ専用木製棚・サンプル分の製作①/脚の材料の用意と墨付け
「できるだけ軽い材料が良い・・・。」というご希望のため、材料には檜を選び、初めに木取り → 墨付けをしました。
「これまで使っていた木製棚の横桟木が抜けやすかった・・・。」ということで、木と木の仕口(接合方法)は、通しほぞ組み+くさび打ちを選びました。
そのため、ほぞ穴の墨付けは、両面にしました。
動力機械の角のみ盤を使い、通しほぞ穴を掘りました。
かまぼこ専用木製棚・サンプル分の製作②/横桟木の製作
続いて、横桟木の木取り → 通しほぞ先の加工 → くさび作りと作業を進めました。
かまぼこ専用木製棚の製作で、一番に考えたのは・・・
①湿気や水に強い接着剤選び
②食べ物を乗せる棚のための安全性
そのために、かなり探したのが、この架橋剤です。
F☆☆☆☆の環境性能を持ち、いつも使っている接着剤にこの架橋剤を加えることによって、耐水性が増すとのことです。
かまぼこ専用木製棚・サンプル分の製作③/短手方向の組み立て
組み立ては、短手方向を初めに組み立てしました。
通しほぞ組みのため、ほぞ先からくさびを打ち込みました。今回のくさびは、ウォールナットを使っています。
どんなに上手く組み立てましても、少々の歪みが生じるため、バランス調整をしました。
かまぼこ専用木製棚・サンプル分の製作④/長手方向の組み立て
続いて、長手方向を組み立てていきました。
片側の通しほぞを入れて、くさびを打ち込み、反対側へも接着剤を入れていきました。
12本全ての横桟木を、通しほぞ穴に入れた状態です。
12本全てのくさびを打ち込んだ状態です。
全体の歪みを矯正するために、バランス調整をしました。
この通しほぞやくさびの出っ張っている部分は、完全乾燥後に目地払いします。
かまぼこ専用木製棚・サンプル分の製作⑤/目地払い作業
通しほぞやくさびの目地払いができた状態です。
家具屋の私は、こんな仕口(接合方法)が見えるものづくりが大好きです。
近年の家具づくりは、効率最優先のものづくりが多く、仕口(接合方法)が見えない家具が多いのは残念です・・・。
かまぼこ専用木製棚・サンプル分の製作⑥/全体の仕上げ作業
仕上げの初めに、高さ調整のため、動力機械の横切り盤にて、脚先を指定のサイズに切っていきました。
今回のような棚ものを作る時は、作業中に脚の先端を傷める可能性があるため、少し長めで木取り~組み立てて、最後に切るのが基本なんです。
続いて、棚全体を調理棚に置いて、かまぼこを載せる時に「ギッコンバッタン」しては危ないですし、かまぼこを誤って落としては大変ですので・・・。
そのため、水平盤の上に棚を置いて、水平バランス調整をしました。
かまぼこ専用木製棚・サンプル分の製作/完成です。
こんな工程で、初めてのかまぼこ専用木製棚が完成しました。
近年では、ステンレス製のかまぼこ用棚が多いとのことですが、昔からの伝統で木製棚のご依頼をいただきました。
かまぼこの山田屋様、ご依頼いただきありがとうございました。