令和7年度税制改正 エンジェル税制の拡充  <浦安市川の中小企業支援コラム>

和泉俊郎

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テーマ:令和7年度税制改正

令和7年度税制改正法案は1月24日召集の通常国会へ上程されますが、今回は、その中から、与野党間で異論がないと思われるスタートアップ支援のためのエンジェル税制の拡充を、以下にて取り上げたいと思います。

エンジェル税制の概要

 エンジェル税制とは、個人投資家によるスタートアップ(ベンチャー企業)への投資を促進するための優遇制度で、一定の要件を満たすスタートアップへ投資した個人投資家は投資の時点と株式売却時点の双方で、税制のメリットを享受出来る。投資時点では投資額(総所得の40%か800万円のいずれか低い金額での上限有り)について寄付金控除の適用或いはその年分の上場株式等の譲渡益から上限無しに控除(相殺)でき、一方、売却時点では一定の場合、エンジェル株の売却益から投資額(2千万円を上限)を控除(非課税扱い)し、売却損が出た場合、その他の株式の売却益と相殺し、それでも損が解消しない場合、3年間繰越して相殺できる等の措置がある。ただ、上場株式等の売却益が発生した年に投資することが要件であり、複数年控除等、何らかの緩和措置が求められていた。

改正の内容

 改正点は以下の3点。

繰り戻し還付制度の創設

 令和8年1月1日以後にその年において発生した特定控除未済額(その年分の上場株式等の譲渡所得がその年中に取得した一定のスタートアップ株式の取得金額に満たない場合のその満たない金額)がある場合、その年の前年分の所得税額の内、その未済額に対応する部分の金額の還付を請求することが出来る。この場合における取得価額は取得に要した金額の合計額とし、その額が20億円を超える場合は20億円とする。但し、前年分の確定申告書にスタートアップ株式の取得見込み等に関する書類を添付する等の要件を満たすこと。

投資の翌年中に売却した場合の取り扱い

 令和8年1月1日以後に一定のスタートアップ株式の取得し、その取得をした翌年中に譲渡した場合、その譲渡所得の計算上、取得価額はないものとする。(注)売却額がそのまま利益となる。

設立特定株式の取り扱い

 発起人等が取得した設立以後1年未満であること等の要件を満たす会社が設立時に発行する株式の取扱いについても上記と同様の措置を講ずる。


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