ノーベル賞経済学者が語るインフレの行方、ウクライナ情勢、日本の未来  <浦安・市川の中小企業支援コラム>

和泉俊郎

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テーマ:近未来予測

プレジデント5月号は、「新しい国際貿易理論と経済地理学の確立」でノーベル経済学賞を受賞したグルーグマン教授へのインタビュー記事を掲載した。以下要約抜粋して紹介する。

景気後退無しにインフレ抑制出来るか

インフレの一つの要因はサプライチェーンの混乱です。中国のゼロコロナ政策はサプライチェーンに甚大な負の影響をもたらしています。そこにウクライナ侵攻が拍車を掛け、物価を押し上げる要因となっています。対ロシア制裁によるエネルギー価格の高騰だけでなく、ヨーロッパの自動車の製造に使われるワイアーハーネスはほとんどがウクライナで製造されていて、小麦輸出の停滞とともに、大きな影響を与えています。然し、アメリカは食料においても石油においても、基本的に自給自足が出来る国ですから、長期的には落ち着くと思われ、エネルギー価格と食品価格の上昇が止まれば、景気後退を引き起こさずに、このインフレを治めることは可能でしょう。

脱グローバル化が進む

グローバリゼーションは常に戦争の脅威と独裁者の気まぐれと云うリスクにさらされています。地政学的にこれから何が起こるか分からない不確実な時代に突入し、国際貿易が著しく後退します。ロシアへの制裁を継続しても、中国がその制裁の逃し弁になると、世界の分断が更に深刻化し、世界経済のブロック化が進行するでしょう。

日本の問題とその未来

来年は新型コロナの終息、サプライチェーンの正常化、エネルギー需給の緩和で、アメリカのインフレ率は3%以内に収束します。その後成長が伸び悩むとすれば、その最大の要因は賃金上昇が十分でないときです。賃金上昇が十分に行われることが重要です。これは日本に特に当て嵌まります。輸入価格の上昇に伴って物価も上昇していますが、賃金が上昇していません。経済成長を享受するためには、物価の上昇に並行して賃金が上昇しなければなりません。これは日本の大問題ですが、決して日本に悲観的な見方をしている訳ではありません。日本は世界でも有数の良品生産国です。世界中の人々は良質な日本製品を欲しがっています。だからこそ、世界経済のブロック化という今後の世界像を知ることは皆さんにとってとっても重要です。特に国の存亡に係わるエネルギー源の確保については真剣に考える必要があります。


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