非常識とも思える発想で新しいものを生み出す!  <浦安市川の中小企業支援コラム>

和泉俊郎

和泉俊郎

テーマ:経営改善

大リーガーの大谷・菊池を初め数々の逸材を輩出する花巻東高校。高校野球の強豪が少なかった東北の地で何故それが可能となったのか、日経トップリーダー2月号は佐々木監督にロングインタビューで取材した。佐々木監督が語る材育成の要諦を、以下要約抜粋。

出口戦略に力を入れると人が流れ出した

2005年の甲子園出場前までは勝てない時期があり、「どうしてうちにはいい選手が入ってくれないんだ。何故、俺の熱意を分かってくれないんだ」と深刻に悩んでいました。そんな時に恩師から「経営を勉強しろ」と言われ、日経トップリーダーに辿り着きました。経営を学んだことで、理由が分かりました。「顧客満足が必要なんだ」と。あの頃の花巻東からプロに行くのは難しい、大学進学率が低く、就職に強かった訳でもない。生徒や親御さんから見れば、花巻東という商品を選ばないのは当然です。うちに来れば、地元のいい会社に就職出来る。希望する大学にも行ける。社会人や大学でも野球を続けることが出来る。そうした「出口戦略」に力を入れると、人が流れ出しました。野球の巧い子が入ってくるようになりました。最初に取り組んだのは、企業に求められる人材を作ることでした。私は野球部員に勉強の成績も厳しく問うし、人としての正しい考え方を持つようにシッカリ育てます。一方で、沢山の経営者に会い、私自身を売り込みました。

常識を越える発想で道を切り開く企業の事例に学べ!

非常識とも思える発想で新しいものを生み出している企業の事例を沢山読み、野球の常識を全て疑わなくてはならないと思いました。例えば、冬場は狭い室内練習場に100人以上の部員が一度に集まって練習する、これに何の疑問も持たなかったのですが、ある大手メーカーの工場が3交代で回していると知って、三交代にすることをひらめいたのです。週末や冬休みの練習を、朝組、昼組、夕方組の3班に分けて練習しました。すると、それまでに出来なかったブルペンでの投げ込みやバッテイング練習も出来るようになりました。

考え方。失敗に対する考え方、自分を高める考え方を教える!

2021年には野球部から東大合格者が出ました。1956年の開校以来、初めての東大合格者です。私は東大の受験をしたこともありませんが、東大合格に導くことは出来ます。生徒の個性を見極めて、意識と意欲をその個性が伸びる方向に導いてあげる、これが指導者の仕事の一番の肝です。野球部に入って来たら、「考え方」を教えます。失敗に対する考え方。自分を高める考え方です。一人一人に高い目標を設定させ、そこから逆算し、今日何をすればゴールに近づけるかを考えさせるのです。「朝8時から30分間」をそれ専用の時間に充てます。学校で何より最初に教えなければならないのは「考え方」です。


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