平成31年度税制改正 組織再編税制の見直し<浦安・市川の中小企業支援コラム>

和泉俊郎

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G20大阪サミット、参院選と大きな政治イベントが続いていますが、今のところ、緊急対応を要する大きな動きはなさそうで、今回は、平成31年度税制改正の中から、組織再編税制の見直しについて、以下取り上げたいと思います。

改正の背景

金融機関や投資家から得た買収資金をSPC(Special Purpose Company/特定目的会社)に集め、その資金で優良法人の買収を行う場合、SPCの存在意義は買収後なくなること、また、建設業等で許認可を存続させる必要がある場合、被買収会社が親会社たるSPCを吸収合併する方が合理的です。然しながら、現法では、こうした逆さ合併は税制適格合併とされず、時価譲渡課税となります。また、株式交換の組織再編において、現法では親会社の株式までしか税制適格として認めていませんが、直接の100%親会社が非上場である場合には、事実上、利用出来ないとの指摘がなされていて、こうした三角合併において、より柔軟な組織再編を促進する為、これらの問題点を解消することが求められていました。

改正の内容

改正点は下記の通りです。

1)逆さ合併に関わる取り扱いの見直し 株式交換等の後に株式交換等完全親法人を被合併法とする適格合併(所謂「さかさ合併」)を行うことが見込まれている場合には、完全支配関係継続要件、支配関係継続要件、親子関係継続要件(共同事業による組織再編の場合)について、その適格合併の直前の時までの関係で判定することとされました。
(注)完全支配関係とは法人の発行済株式のうち、自己株式等を除く全部100%を直接もしくは間接に保有することにより、当該法人が完全に支配されている際の両社の関係。支配関係は50%超100%以下の保有関係。

2)三角合併に関わる取り扱いの見直し
三角組織再編(適格合併、適格分割または適格株式交換)の適格要件の対価要件および被合併法人等の株主における旧株の譲渡損益を繰り延べる要件に、合併法人等の親法人の株式だけでなく、合併法人の発行済株式の全部を間接に保有する関係がある法人(当該親法人の親法人)の株式を加えることとされました。

なお、上記の改正は平成31年4月1日以降の組織再編より適用されます。


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