大事なのは“絶対利益を出す!”との意識 <浦安・市川の中小企業支援コラム>

和泉俊郎

和泉俊郎

医療機器等を手掛けるジョンソンアンドジョンソン日本法人の社長から、2009年にカルビーの会長に就任後、カルビーは8年連続で増収・増益を更新し続けています。その「儲けの経営」の極意を松本会長を語ります。日経トップリーダー8月号他より、以下要約抜粋して紹介します。

理屈はシンプルが良い!

私が着任する前は、カルビーもコックピット経営(可視化経営)をやり、3000に及ぶKPI(重要業績評価指標)を設定し、業績評価の対象にしていました。然し、現場がKPIに振り回され、業績に繋がらない無駄な仕事を沢山していた。それで、これを廃止しました。「よい原材料を仕入れ、工場の稼働率を上げて生産し、営業担当者が現場を回って販売すれば自ずと儲かる」というシンプルな経営思考に切り替えました。また、複雑すぎる指標は現場の心に響きません。みんな頭が良すぎるから、経営を複雑にしてしまう。理屈をシンプルにすると、従業員が納得して着いて来てくれます。

難しい問題も、儲けるという目的意識で見ると、答えが出る!

カルビーは商品の品質も高く、一連のサプライチェーンも良く出来ていた。しかし、コストには無頓着だったのでそこにメスを入れただけです。品質に拘るあまり、会社の本来的な意義である儲けることに対しての意識が弱かったのです。会社の経営はもともと難しいものではありません。問題点を見つけるときも、複雑に考える必要はありません。儲けるという目的意識で見ると、答えが出てきます。たったこれだけのことで180度結果が違うのです。カルビーで私が取り組んだのは、ムダを徹底的に排除して効率を上げることです。その根本にある考え方は、「一利を興すは一害を除くに如かず(モンゴル帝国宰相・耶律楚材の言葉)」。害になることを一つ止めることは、利益になることをひとつ始めるより良いという意味です。

会長以下全員が「約束と結果責任」を意識すること!

儲ける意識を植え付ける為に、社員に意識改革を求めました。「ビジネスはコミットメント(業績の約束)から始まり、一旦、コミットしたならばアカウンタブル(結果に責任を持つ)でなくてはならない」と。これは会長も社長も同じで、増収増益の最中でも、約束した業績が達成できなかったら、減俸としました。経営って2つしかないんですよ。「世のため人のためになること」と「儲けること」。

夢を追いかければ、経営は趣味より面白い!

世の中には色々な楽しみがありますが「一番面白い」と思ったのは仕事です。仕事は頭も使うし、リスクや失敗もある。エキサイティングです。私にとって仕事は、ほかの趣味よりずっと面白い。経営者の仕事は夢づくりです。企業規模に関係なく、「皆でこの夢をかなえよう」という壮大なビジョンがあると、それに向かって強力なベクトルが働きます。魅力的な夢を描いて、従業員を感化することが大切なんです。


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