民法改正: 長年連れ添った配偶者の住居を守れ!   <浦安市川の中小企業支援コラム>

和泉俊郎

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内閣支持率急降下に対応するため、8月3日、安倍首相は第3次「仕事人内閣」を発足させました。経済再生を最優先とし、構造改革を断行するとしていますが、具体策が見えない中、今回は、相続実務に関係する重要事項として、来年の通常国会に上程される予定の民法改正「遺産分轄に関する規定の見直し」を、以下にて取り上げたいと思います。

改正の背景

高齢化が進む中、相続が発生し、住居以外に大きな遺産がない場合、法定相続分で遺産分割をすると、住まいを売却・現金化するしか手立てがないこととなり、残された配偶者が住居を失う事態となることが問題視されて来ました。そこで、配偶者がひとり暮らしになった後の生活を安定させるため、長年婚姻関係があった場合には、配偶者の居住権を優先的に認める案の検討が法制審議会で進められて来ました。

改正内容

配偶者保護のための方策(持戻し免除の意思表示の推定規定)として、「婚姻期間が20年以上ある夫婦の一方が他の一方に対し、その居住の用に供する建物又は敷地(居住用不動産)の全部又は一部を遺贈又は贈与したときは、民法903条第3項の持戻しの免除(遺産分轄の対象としない)の意思表示があったものとして推定するものとする」として、遺産分轄の対象とする相続財産から除外し、遺留分の減殺請求の対象外とされる予定です。

改正の影響

例えば、遺産が居住用財産で2,000万円、現預金で1,000万円の合計3,000万円であり、相続人が配偶者と子の二人である場合、現行の制度では、配偶者と子は遺産の2分の1ずつ(法定相続分)1,500万円を受け取ることがでるが、新制度では、配偶者は居住用財産2,000万円と現預金(1,000万円)の半分500万円の合計2,500万円を受け取ることが出来ます。また、子の遺留分(1/4)は、現行では750万円ですが、新制度では250万円となります。

税制との関係

相続税法では、20年以上連れ添った夫婦間で住宅や住宅取得資金の贈与が行われた場合には、2,000万円まで非課税とする「贈与税の配偶者控除」の特例規定があり、相続開始前3年以内の贈与であっても、相続財産へ加算(合算)されず、課税されないまま財産を配偶者へ渡すことが出来ます。その意味では、民法が相続税法へ追いついたものと言えます。


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