平成29年度税制改正 組織再編税制の見直し   <浦安・市川の中小企業支援コラム>

和泉俊郎

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都議選での歴史的惨敗と支持率急降下により、安倍首相は8月初旬にも内閣を改造し、経済最優先で再浮揚を図るようですが、未だ未だ打ち手が見えない中、今回は、平成29年度税制改正の内、攻めの経営を促して経済活性化を目指す「組織再編税制の見直し」を取り上げたいと思います。主要改正点は以下の通りです。

スピンオフ税制の見直し

現状:
社内ベンチャー等の特定の事業を切り出して独立した事業法人を立ち上げたり、既存の100%子会社をグループ外へ切り出す等のスピンオフ(会社の分離)を行うと、切出法人の株主に被切出法人の株式が現物分配されることから、切出法人の支配関係(発行株式等の50%超)が継続しない為、現状の組織再編税制では税制適格とならず、切出法人の株主に対しては配当課税が、切出法人に対しては資産譲渡益課税が課されることとなります。

改正点:
以下の2点が改正点となり、平成29年10月1日以後のスピンオフから適用されます。

①税制適格となる分割について、「切出法人が分割前に他の者による支配関係がないものであり、被切出し人が分割後に継続して他の者による支配関係がないことが見込まれていること」との要件を加えることにより、全ての適格要件を満たせば、株主課税・資産譲渡損益課税ともに繰り延べることとされました。

②グループ外への切出法人株主に対する被切出法人株式の現物分配について、「現物分配法人が現物分配前に他の者による支配関係がないものであり、被切出法人が現物分配後に継続して他の者による支配関係がないことが見込まれていること。」の要件が加え、全ての適格要件を満たせば、株主課税・資産譲渡損益課税ともに繰り延べることとされました。

スクイーズアウト税制の見直し

現状:
スクイーズアウトとは少数株主を排除して100%子会社化を図ることですが、少数株主へ現金を払うと税制適格とならず、また、100%子会社化のため全部取得条項付種類株式等を使う場合、組織再編税制の対象外とされています。

改正点:
以下の2点が改正点となり、平成29年10月1日以後のスクイーズアウトから適用されます。

①吸収合併と株式交換については、親会社が子会社株式の2/3以上保有している場合は、現金を支払っても適格とされます。

②全部取得条項付種類株式等を使う場合も組織再編税制の対象とされ、非適格であれば時価譲渡損益課税、適格であれば、課税の繰延となります。従って、非適格にすることにより、含み損を活用することも可能となります。


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