変わり続けたから今がある!   <浦安・市川の中小企業支援コラムk>

和泉俊郎

和泉俊郎

ジーンズメーカーのベティスミスは、同業大手が、ユニクロやH&M等ファーストファッションの台頭により経営破綻や経営不振に陥る中、市場の変化を読み、業界に先駆け絶えず新しい価値を創出して、勝ち残って来ました。日経トップリーダー6月号は、同社の大島社長から、その価値創造経営の神髄を聞き出しています。以下内容骨子を要約抜粋して紹介させて頂きます。

いつも業界初を目指して来た!

男と女では体型が違うのに、本場のアメリカでも日本でも女性用のジーンズがないことに着目し、1970年に女性用ブランドを立ち上げました。ビッグジョンの下請けでスタートしたのですが、日本初のレディースジーンズメーカーとなったわけです。1980年代半ばは、ダイエー等の量販店が勢いよく拡大していた頃ですが、当時、量販店へジーンズを供給していたのはノンブランドと言われる下請けメーカーでした。ここに当社ブランドを売り込むと次々と注文が舞い込み、数年後には売上は倍増となりました。

自らの足で歩いて遠くのものを取りに行って、初めて変わる! 

然し、1990年代半ば、バブル崩壊後の不況に突入し、価格競争が激化、7,900円の商品が3,900円にまで下がりました。大手は価格競争に耐え抜く為に、中国シフトを始めましたが、体力の無いうちが、大手と同じ方法で戦っても、消耗戦になって到底勝ち目はありません。そこで、量販店との取引からの撤退を決意しました。少し手を伸ばして届く程度の努力では、結局会社は変わりません。自らの足で歩いて遠くのものを取りに行って、初めて変わるのです。ここは、会社を動かさなければならないと思いました。撤退による衝撃を緩和する為、コスト削減に努めながら、2000年初めには完全に撤退しました。

顧客の声に真摯に応えれば、次の価値が見えて来る!

販路は既存のジーンズショップ向けだけとなり、新しい販路をどう築くかが課題でしたが、「特注品を作ってくれないか」との
顧客の声に真摯に応える内に、2003年オーダージーンズブランドが生まれ、新しい販路として販売形態が類似する紳士服店チャネルを開拓しました。オーダージーンズは地場産業育成プロジェクトを手掛ける倉敷市の認定ブランドともなり、マスコミにも取り上げられ人気となりました。2010年には、オーダージーンズで蓄積したデータを生かして取り揃えたジーンズに、ボタンや金具等のパーツを顧客が選び自ら取り付ける体験型のセミオーダージーンズを投入しました。この二つのオーダージーンズの粗利は50%前後で、受注生産ですからロスも出ない為、収益に寄与してくれます。また、高単価のこだわり品を求める顧客を取り込む為、昨年末から直販店の展開を始めました。

自ら進んで変わろうとする”変わり癖”を身に付ける!

市場の先行きを読み、他社より一足早く動くのが、うちのDNAです。このDNAを大切にし、自ら進んで変わろうとする”変わり癖”を組織に植え付けて来たつもりです。トップ主導で何度でも売り方を変え、その都度、会社が強くなる経験をすると、”変わり癖”が定着します。


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