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和泉俊郎

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和泉俊郎(いずみしゅんろう) / 税理士

和泉税理士事務所

コラム

消費税還付制度の見直し   <浦安・市川の中小企業支援コラム>

2016年5月16日

コラムカテゴリ:ビジネス

7月の参院選を意識し、安倍首相は来年4月の消費税率引き上げを再度延期する決断をしました。これに伴い、軽減税率の導入も延期される中、今回は、平成28年度税制改正の内、消費税の還付制度の見直し(過度の節税防止策)を、以下にて取り上げたいと思います。

消費税還付制度見直しの背景

アパートの賃料は消費税の非課税取引で、本来アパート経営者は課税事業者ではありません。一方、消費税は購入時即時控除と云って、多額の買い物をするとその消費税が購入時に控除され還付を受けることが出来ます。そこで、①消費税課税事業者選択届出の手続きにより敢えて消費税課税事業者となる、②不動産を購入・新築する、③非課税の家賃収入を発生させない、③自動販売機を設置して課税売上を発生させる、という4つの要件を同じ年に満たすことで消費税の還付を受け、その後、本来の免税事業者になる云う節税が横行しました。平成22年の改正で①の課税事業者を選択して2年以内にアパート等を購入した場合、一定の規制が設けられましたが、3年後に購入する等の抜け道を利用するケースが出てきました。

更には、高額不動産を購入し還付を受けた後、簡易課税制度(前々事業年度の課税売上高が5千万円以下の課税事業者にのみ認められる簡易な計算方法<売上高に基づくみなし仕入率で消費税を計算>)を選択し売却する、例えば、1億円の不動産を購入し8百万円の還付を受け、同額の1億円で売り戻せば消費税は800万円x40%=320万円だけ納めれば良く、60%の480万円の消費税を手許に残すことが出来ます。このような手法を取る事業者も出てきました。

改正(見直し)の内容

課税事業者が、簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に国内における高額資産の課税仕入れ等を行った場合、その高額資産の仕入れ等の日の属する課税期間から当該課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、免税事業者及び簡易課税適用事業者にはなれないとされ、購入時点で控除され還付された消費税額について3年後に一定の調整計算を行うこととされました。この改正により、調整計算を逃れる道が完全に塞がれました。また、簡易課税が適用出来ませんから、売り戻しの手法も取れなくなりました。適用は平成28年4月1日以降の取得からとなります。
(注1)高額資産とは一取引単位の対価の額が税抜1,000 万円以上の棚卸資産又は固定資産を言います。
(注2)経過措置として、平成27 年12 月31 日までに締結した契約に基づき平成28 年4月1日以後に高額資産の仕入れ等を行った場合には適用されません。


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