経営の極意は犠牲と奉仕を楽しむこと   <浦安・市川の中小企業支援コラム>

和泉俊郎

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8月30日の日経は「カリスマ経営、後継者の条件は」のタイトルで、海外企業含め約50社の企業買収を進め、一代で売上高1兆円の世界屈指のモーター会社に育て上げ、また、孫社長に請われ、ソフトバンクの社外取締役としても活躍中の永守社長のインタビュー記事を掲載しましたた。以下、永守語録とともに要約抜粋して紹介させて頂きます。

自前での後継者育成に回帰

10年くらい前か、会社も大きくなって「外には優秀な人材もいるだろう」と思い、それまでの自前での育成主義を変えた。で、灘校→東大→ハーバード大みたいなエリート人材を入れた。然し、結論を言うと錯覚だった。そういう経歴の人が経営がうまいとは限らない。外資に3年いたとか、それだけでは難しい。やらせてみたら「これだったら自分が育てた生え抜きの方が上だ」と、10年掛かってようやく最近わかった。それでもう一回、経営塾を始めて後継者の育成にエネルギーを使おうと考えた。

経営塾で一番伝えたいこと

一番伝えたいことは、会社経営の神髄だな。経営は半分近くが失敗ですな。8勝7敗、9勝6敗で勝ち越した会社が生き残っているだけ。だから減点主義で人を見れば、ほとんど失格になる。若い時の失敗、挫折の経験が立派な経営者をつくるのですな。経営能力は判断の回数と挫折で決まります。失敗したら反省して、次の決断に生かす。その積み重ねが経営者を磨くわけです。また、経営者というのは犠牲と奉仕の精神がないといかん。日曜日にゴルフしようとか、そんな気持ちを持ったら駄目。単に働けということではなく、経営という仕事が天職であり、且つ、エンジョイしている、そういう人がやるべき仕事だ。それを教える。最も重視する能力は一生懸命働く意識の高さですね。ウサギとカメと同じですよ。仕事が楽しいと言っている人は本物です。元シャープ社長の片山幹雄氏を日本電産の副会長に招いたことで色々な見方が交錯しているようだが、理由の1つ目は、技術者であること。そして2つ目は、売上高が兆円規模の企業のトップだったこと。そして第3に、大きな挫折を経験していること。大きな挫折を経験した人間は、再起のチャンスが巡ってくれば同じ失敗はしない。また、並々ならぬガッツで勝ち抜くものです。

意識を変えてもらえさえすれば優良企業

僕が買収する会社は何期も赤字が続いているような会社です。普通ならその経営者は辞めさせられます。でも、僕にはそんな考えは全くありません。所詮、誰にやらせても一緒なんです。むしろ、いままでずっとそこにいて、失敗してきた人の方がまだ改革し易い。私どもと同じ考え方へ意識を変えてもらいさえすればいいんですよ。これまで瀕死の会社を20数社譲ってもらって、全部優良企業に変わったのは、その意識改革があったからです。


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