人の3倍考え、3倍働く!  <浦安・市川の中小企業支援コラム>

和泉俊郎

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繊維産業という衰退産業に身を置きながら、革新的な製品を提供し続け、世界のトップシェアーをキープする㈱島精機製作所/島社長が語る「成功の極意」を、以下要約抜粋して紹介します。

* 創業して50年以上、ここまで何とかやってこれたのは、「世の中にない世界初の製品」と「お客様に儲けてもらえる仕組みづくり」が出来たことのお蔭です。でも、それだけが成長の要因ではありません。私は、これらの取り組みが巧く運んだ根本には、「人の3倍考え、3倍働く」と云う幼少時代からの習慣があったからだと考えています。

* 父親が戦死し、和歌山市の住まいも空襲で焼け、終戦後、母親と妹を食べさせていくためには、知恵を出し、身を粉にして働かなければならなかったのです。誰に教わった訳でもないのに、何故数百に上る発明をし、数々の世界初の製品を生み出せたのか。それは、人よりずっと多く考え、しかもそれが習慣になっていたからだと思います。結局、創造力は考えた時間に比例するのです。会社が大きくなり、仕事が忙しくなると、集中して考える時間は取りにくくなりましたが、それでも時間は作ろうと思えば捻出出来るものです。

* 編み機のデザインにもとことんこだわり、考え抜きました。他社製品は汚れが目立たなくする為か、ほとんど黒でした。私は、汚れが目立てばこまめに手入れして機械を大切にするので、結果として故障も少なく長く使って頂けると考えました。当初は「どうして汚れ易い色にしたんだ」と文句が出ましたが、後になって、「淡い色にした意図が分かった」と、お客様に感謝されたものです。当然ながら、きれいな所で作ると良いものが出来ます。汚いと、ゴミが機械に挟まって動かなくなったり、従業員が滑って怪我をしたりします。第一、きれいな所で仕事すると働く社員の気持ちが違って来ます。

* 人の3倍考え、3倍働いても、全て成功する訳ではありません。苦しかったことは数えきれません。最初の危機は設立して3年目、開発費が嵩み6千万円の借金を抱え資金繰りに窮しました。取引銀行からは見捨てられ、生命保険金で返済をと考え死を覚悟したその日、ある企業が援助をしてくれました。また、石油ショックで受注が激減したところに労働争議まで起きた存亡の危機では、メインバンクが「島さんは一生懸命に仕事をしている。だから応援したくなる。」と全面支援してくれ、危機を乗り切りました。人の3倍考え、3倍働けば、その姿を誰かが見ていてくれるものなのです。


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