終活セミナーを終えて
前回は離檀についてお話をさせていただきました。
今回はその後編といたしまして、「離檀料」についてお話したいと思います。
離檀についてちょっとだけおさらいすると、離檀とは現在までお付き合いされている菩提寺との関係性が失われること。具体的には、墓じまいなどをされて墓地の返納をする、位牌堂を返却する、更には葬儀や年回忌法要も頼まないような状態になることです。
そのような檀家としてのお付き合いが失われる時、菩提寺に対して支払われるお金のことを「離檀料」と言っています。
私はこの離檀料という言葉を初めて聞いた時、「えっ、何それ?そんな料金があるの?」というのが、正直な感想でした。
みなさんは、どうお感じになったでしょうか?
話は変わりますが、檀家になる時にはどういう手順で檀家になっていますか。
契約書を取り交わしている。申込書のような書類を記入されている。口頭で承諾をいただいた。など寺院によってはやり方は様々です。
ですが、聞いてみると「先祖からのお付き合いだから分からない。」というのが、圧倒的に多い答えです。さらに、契約書や申込書のようなものは見たことがない、あるかもしれないが分からない、という答えが返ってきます。
仮に、檀家になった時の契約書があったとします。そこに離檀についての項目があったとしても墓地の返納についての記述だけで、「離檀料」について明記されているものはまずないと言ってもいいでしょう。
※最近は檀家になる際に、離檀料について金額を明記しているような契約書を準備されて取り交わしている寺院もあるようです。
過去において契約書にも記載のない、檀家になる時に離檀料の説明も無いのに、何故離檀する時に離檀料というお金の話がでてくるようになったのか。
おそらく、数年前までは、墓じまいや離檀ということが想定としてなかったのだろうと思います。これも核家族化や少子化など社会の変化によって生まれた新たな言葉なのではないでしょうか。
それでは話を戻します。
離檀する時に、離檀料を支払はなくてはならないのか。
そもそも、寺院には価格表や料金体系というものはあるのでしょうか。
数珠や仏具などの物の販売であれば、それが寺院であっても対価は発生すると思います。
では、葬儀や年回忌法要などでお経を唱えていただき、寺院にお金を渡す際にそのお金のことをなんと言っていますか。「お布施」と言っていないでしょうか。
渡すものがお金ではなくても、例えば自分の田畑で採れたお米や野菜であったり、購入してきたビールやお酒であっても、寺院に渡す金品は「お布施」になるのです。
では、この「お布施」とは何なのでしょうか。
簡単に言うと「お礼・謝礼」になります。
たまにこんな話を聞きます。住職に金額について聞いてみたら、「お気持ちで」と言われた。いくら包んで渡したらいいのだろう?みなさんもこんな経験はありませんか。
はっきり、いくらと言ってくれた方が助かるのに。そんな声も聞いたことがあります。
葬儀や年回忌法要などでありがたいお経をあげてくれたことへのお礼、感謝の気持ちを表したものが「お布施」なのです。今でこそ「お布施」は現金ですが、昔はお金の方もいらっしゃったと思いますが、農作物や着物などが「お布施」の定番でした。
生活の状況も経済状況も人それぞれでしょうから、その家庭でできる感謝の気持ちを形として寺院に差し出したものが「お布施」なのです。
そういう歴史や考え方からすると、本来は寺院から離檀料と称して請求するべきものではなく、檀家の方から今までの先祖供養に対するお礼、感謝の言葉と一緒に「お布施」を渡すことの方が離檀する上での「あり方」としては正しいような気がします。
この離檀料という言葉も、檀家からではなく菩提寺から発せられた言葉のような気がします。だとしたらなぜ、菩提寺が離檀料という言葉を口にしたのでしょうか。
あくまで私の想像にすぎませんが、社会的変化に伴い菩提寺と檀家の関係性が希薄になってきているとは思いませんか。葬儀や年回忌法要の時だけしか寺院には行かない、なかなか寺院に足を運ぶ機会がない、住職と話をする機会がない。正直みなさんはどうですか?
お世話になってきている菩提寺をないがしろにして、墓じまいのことも石材店とだけ話を進めたり、次の改葬場所の寺院や葬儀社とだけ話を進めたり。
もしそんな風に手順を踏んでいったら、菩提寺としてはどんな思いになるのだろう?
ひょっとして、そんな時に口から出たのが離檀料という言葉だったのだろうか?
私個人のいい加減な想像ですが、そんな風にも思ってしまいます。
離檀する時の「お布施」の金額、お気持ちでと言われても、いくら包んだらいいのでしょう。
寺院によって、またその地域での相場もあると思いますので、これといった正解はないのだろうと思います。地域の葬儀屋さんに聞いてみるのもいいかもしれません。
私なりに金額を考えてみると、明確な金額は申し上げられませんが、菩提寺とのお付き合いの長さや、先祖の人数などを目安のひとつにするのも方法かもしれません。
離檀料について話してきましたが、私が住んでいる青森県八戸市では、私が知る限りでは、離檀料を請求されて支払ったという方は今のところはおりません。
ですが、今後は前述したように、檀家になる際に契約書を交わし、そこに離檀料と明記される場合が増えてくるかもしれません。檀家になっている年数や仏様の人数によってもその金額は変動するのかもしれません。
でもそれは離檀する際にトラブルにならない為、お金にまつわる誤解を生じさせない為には、正式な「離檀料」という「お布施」とは異なる料金形態が必要になるのかもしれません。
テレビなどで離檀料について取り上げられることがありますが、びっくりするような金額提示を受けるような例が紹介されることがあります。
それも事実だと思いますが、びっくりするようなこと、別な言い方をすれば、めったにないレアケースだからこそ番組で取り上げられるのではないかと個人的には思います。
今後離檀料がどのように変化浸透していくのか分かりませんが、お世話になってきている菩提寺にご先祖様の分も感謝の意を込めて接することが大切なのだと思います。
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