終活セミナーを終えて
お墓に関する特集などをたまにテレビで見かけることがあります。
その番組の中で、妻が夫と同じお墓に入りたくない、といった内容が映し出されることがしばしばあります。
現在はお墓に限らず供養の方法も多様化しているので、同じお墓に入らなくても違う方法で埋葬や供養を望めば方法はあります。
周囲の人たちの声も多様にあるかもしれませんが、あくまで個人が望むことでそれは現実的になることはそんなに難しくないと思います。
あまりテレビなどでは取り上げられていないようですが、家を出た後で両親と同じお墓に入りたい、法律的には他人ですが、一緒のお墓に入りたいと思われる方も、少数ではありますがいらっしゃいます。
一度家を出て、名字が変わってしまっても、先祖のお墓に入れるのか?法律的に戸籍上他人の関係のまま、同じお墓に入れるのか?そういったご質問を実際の相談から解説したいと思います。
ではまず結論から述べさせてもらうと、現在お墓を守っている人(墓守)が了承をすれば、どなたでもそのお墓に埋葬、納骨してもらうことは可能なのです。
これを念頭において解説をしていきたいと思います。
次のようなご相談を受けることがあります。
「自分は嫁に出たが、その後離婚をしました。元夫のお墓には入りたくないし、入りたいとは思いません。できたら、実家のお墓に入りたいのですが、可能でしょうか?」
さらに、
「嫁に行った姉が離婚をしました。私が墓守をしている先祖代々のお墓に入れてあげたいのですが、入れても構わないのでしょうか?」
双方立場は違いますが、どちらのご相談も同じ内容のご相談です。一度結婚をされたということで、名字は違うことも多いと思いますが、入りたいと願っている方は、墓守をしている方の身内親族でもありますから、墓守をされている方が了承していれば、何の問題もありません。
このようなケースでは、親族からもそれほど強い反対はされないと思います。親族の中には、一度家を出たのだからと、懸念される方もいらっしゃるかもしれませんが、自分の兄弟で、両親も眠っているお墓だからということで、強い反対にはならないことが多いようです。
続いて、最近受けたご相談のケースです。
ご相談者は中年の女性の方でした。
「兄がいてお墓を守っています。自分は独身で、最終的には親の眠っているお墓に入れてもらおうと思っています。兄も了承しています。ところで、そのお墓に私の友人も一緒に入れてもらいたいと思っているのですが、可能でしょうか?」
こんなご相談でした。
正直、ちょっと変わったご相談だな、と思いましたが、墓守をしているお兄さんが友人のことについて了承しているなら可能です、とお伝えしました。
どの様な事情があるのか、話せる範囲でお話いただけますか?と尋ねてみたら、言いづらそうにしながらも答えてくれました。
この女性は、同性愛者とのことでした。10年近くもお付き合いしている女性がいて、お兄さんは友人として理解をしているそうです。お兄さんは普通に家庭を持っている方だそうで、偏見をもっているだろうから、その事実は話していないとのことでした。
このような方を含めた、最近よく耳にするようになったLGBTの方たちにとっては、実はとても深刻で真剣なお悩みだと思います。
LGBTについては、私は専門外ですので何かを語ることはできません。
世間では理解を示されるようになってきているのかもしれませんが、戸籍上無関係の人を先祖のお墓に入れる、自分と同じお墓に全くの他人の遺骨が一緒に入る、ということには、今まで前例のないことでもあり、かなり気持ちの上で抵抗感を持たれる方が多いといのが本音にはどこかあるのではないでしょうか。
それでも、どうしてもとお考えなら、墓守をしている人、またそのお墓の関係している親族を納得させるしか方法はないのかもしれません。
ですが、現在のお墓事情を見渡してみると、お墓は決して家族だけが入るところと限定しているお墓ばかりではありません。
高齢者施設がお墓を持っているようなケースがあります。
ここでは、勿論希望者のみへの対応ですし費用もかかりますが、お一人様などの高齢者がお亡くなりになった時に埋葬するためのお墓を準備しています。こうなると埋葬される方々は親族には限りません。
この場合でも、墓守をしている施設、または施設長が了承しているからこそ、このお墓に入れるわけです。
別の霊園などでは、夫婦墓という区画を持っている霊園もあります。
これは、その名の通り夫婦だけが入ることのできるお墓です。普通に考えると、どちらかが先に入るわけですが、残された方がお亡くなりになって、十三回忌が過ぎると夫婦揃って永代供養に移されるという仕組みです。
以前もお話しましたが、ペットと一緒に入れる霊園などもございます。
また友人たちだけで入れるお墓もあると、テレビか何かで観たような気がします。
このように現在のお墓は親族だけで入る場所ではなくなってきているのかもしれません。
また昔からのお墓という概念、お墓を守るという概念が変わりつつあるのかもしれません。
親族がいらっしゃらない方、親族と一緒に入ることを希望されない方、また親族以外の方と一緒に入りたい方など、ライフスタイルの変化と同様にお墓の「あり方」も変化していかなければならないのかもしれませんね。
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