終活セミナーを終えて
合葬墓という墓地、または区画が最近増えてきているのはご存知でしょうか。
主に自治体など、公営で運営管理されている場合が多く見受けられます。
私が住んでいる八戸市でも、現在、八戸市営東霊園の一角で合葬墓の工事が着々と進んでいます。令和4年度から使用が開始されるものと思います。
青森県内でも、弘前市、青森市に続いて八戸市でも合葬墓が建立されます。この合葬墓建立の動きは、青森県内だけではなく、全国的な動きになっているように感じます。
ではなぜこの合葬墓建立が全国的に進んできているのか。
何度かお話してきているように、少子高齢化や核家族化が進み、お墓の承継が難しくなってきているという背景があります。
現在ではお墓への埋葬以外にも、永代供養、樹木葬、海洋散骨など、様々な選択肢が増えている中で、合葬墓という選択肢も新たに加わってきました。
そこで、こんな疑問は湧いてこないでしょうか。
合葬墓と永代供養墓、何か違うの?違うとしたらどう違うの?
実際にそのようなご質問を受けたこともありますし、また、勘違いや間違った認識を持っていらっしゃる方も少なくありません。
そこで、一般的に言われている合葬墓と永代供養墓について、その違いなどを解説したいと思います。
ひとつ目の違いは、運営管理の違いです。
永代供養墓は、ほとんどのケースでは寺院が運営管理しています。境内地に石塔や仏像などを建立し、そこに安置しています。
骨箱(骨壺)で、ある一定期間保管し、合葬(合祀)されるやり方と、預かってすぐに合葬(合祀)される方法があります。
合葬墓は、一部民営での動きも見受けられるようになってきましたが、ほとんどは自治体(役所・役場)が運営管理しています。
見た目は、石碑のような物が建立されていたり、古墳をイメージしたりと、宗教感を強く感じさせるような作りにはなっていないものが多いように思います。
お骨は預かるとすぐに合葬(合祀)されます。
ふたつ目の違いは、費用です。
具体的な金額、費用については、各寺院や自治体によって異なりますので、ここでは申し述べることはできませんが、合葬墓は永代供養墓に比べると安価なところが多いようです。
合葬墓は自治体の運営ということで、税金で賄われていますので、その辺が大きな理由になっていると思います。
みっつ目の違いは、利用(契約)条件です。
永代供養墓は寺院が運営しているわけですが、ご依頼主様の宗教宗派を問わず、他地域からの受け入れをしてくれているところも多く、間口が広いように思います。
一方の合葬墓ですが、自治体が運営しているわけですから、勿論、宗教宗派は問いませんが、生前にその自治体の住民であったかどうか、が重要な条件になります。
他の自治体の住民の場合、受け入れ(申込)を拒否されることもあります。
最後によっつ目の違いですが、ご供養についてです。
上記みっつについて違いを述べてきましたが、最後のご供養についての違いが、誤解や勘違いが最も多い違いになります。
永代供養墓は、その名の通り、永代に渡り供養をしていくことを目的として建立されています。実際には三十三回忌や十七回忌などの期間、故人の法要を寺院で営んでくれたり、その期間後も、永代供養祭や合同慰霊祭などとして、定期的なご供養をされていることが多いのです。
では合葬墓はというと、遺骨が埋葬された後は、ご供養に関する祭祀や神事を自治体が主催してやってくれることはまずありません。
これは、政教分離の原則(日本国憲法20条)に則って、自治体は宗教活動をしてはいけないことになっているからです。
遺骨を埋葬することはしても、宗教的な行事や法要などを自治体が執り行うことはしないというわけです。
ですが、あくまで個人的に住職を頼んで、読経していただいたり、お墓参りのように供花を手向けたりすることは、個人の自由として認められているようです。
以上、大きくよっつに分類して、合葬墓と永代供養墓の違いについてお話させていただきました。細かいことはまだありますが、寺院によっても各自治体によっても異なることもございますので、詳細についてはご自身のお住いの寺院や自治体にお問い合わせしていただくことをお奨めします。
いかがでしたでしょうか。
合葬墓と永代供養墓はニュアンス的になんとなく似ているように感じられている方が、ご相談を受けていると多くいらっしゃるように思います。
もっというと、無縁塔(無縁墓)とい石碑を建立している自治体もあります。ここには、自治体によっては、生活保護や遺骨の引取り手のいらっしゃらない方などを葬っています。
合葬墓、永代供養墓、無縁墓など、その名称によってそれぞれ受ける印象はかわってきます。また、運営管理している法人や自治体によっても埋葬に基準があってそれぞれに微妙に違っています。
ですが、先人を尊び敬い感謝する想いが、この埋葬という方法に表われているように思えます。心に手を掌わせる日本の文化って素敵だと思います。
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