手元供養の前に知っておきたいこと

佐々木博一

佐々木博一

「手元供養(てもとくよう)」という供養方法はご存知でしょうか?
名称だけは聞いたことがあるけど…、やり方や方法がいまいち分からない、という方も多いのではないでしょうか。

供養の方法や形は多種多様になってきていますが、この「手元供養」も最近注目を浴びてきている供養方法のひとつです。
この「手元供養」ですが、この供養の方法も実に多様な方法があります。
それを少し整理して「手元供養」についてお話を進めて参ります。

「手元供養」とは、自宅で遺骨を管理し、故人を偲び供養する方法です。

この「手元供養」は火葬後の遺骨を、全部または一部をご自宅で管理、または別の形状等に加工するなどして手元に置いておくという方法です。

故人を常に近くで感じていたい、故人と一緒に過ごしたいと強く願う気持ちから生まれた供養の方法といえるでしょう。

この「手元供養」について、「手元供養」そのものだけではなく、その前後に考えておかなければならないことなど、解説したいと思います。

「手元供養」はふたつのやり方に分かれます。ひとつは、家の中で管理保管する方法。もうひとつは、基本的に持ち歩くことができる方法。

そして次のようなふたつのやり方にも分けることができます。遺骨をそのままの形状で、骨壺やアクセサリーに収納する方法。もうひとつは、遺骨をダイヤモンドやセラミックなどに加工して、アクセサリーやプレートなどにする方法です。

それぞれのやり方の組み合わせで現在の「手元供養」は行われています。

家の中で管理保管する方法は、遺骨の火葬後、遺骨の全部または一部を骨壺にいれて、家に持ち帰ります。持ち帰った遺骨は、仏壇に収納したり(骨壺を収納できる仏壇)、小さな骨壺であれば、仏壇に位牌や遺影などと一緒に置いて保管します。

今では、「手元供養」専用の、装飾などが施された骨壺も販売されています。大きさは手のひらに乗るようなものから、全量が入るサイズのものまであるようです。

常に肌身離さず持ち歩きたい方は、遺骨の一部を入れるアクセサリーや、遺骨を加工して、遺骨と分からないような形状にして、アクセサリーなどとして身につけています。
アクセサリーにするために必要な遺骨の量は、ほんの少量です。

遺骨の加工に関しては、日本国内でやられている企業はまだまだ少ないようです。ダイヤモンドへの加工は、海外に遺骨を送って海外で加工しているそうです。(日本で加工している所も出てきたかもしれませんので、詳しくはお調下さい)

これらの「手元供養品」は、仏壇仏具の販売店や、葬儀社などで取り扱っています。地方では、「手元供養」をやられる方がまだまだ少ないようなので、カタログやネットの通販などでも、購入が可能です。

ここで、考えなくてはならないことがあります。それは、

①「手元供養」として使用しなかった遺骨は、どうするのか?
②「手元供養」を依頼して保管していた家族が亡くなってしまったら?

火葬後、遺骨は持ち帰りますが、遺骨の全部を家で管理保管する方法で「手元供養」をされるのであれば問題はないのですが、アクセサリーにする、少量だけ家に置く、という場合、使用しない遺骨はどうされるのでしょう?

お気づきでしょうか?
「手元供養」の場合、そのほとんどのケースでは、「手元供養」に使用されない遺骨が残り、何らかの方法で埋葬や納骨、散骨などの手段が必要になるということです。

「手元供養」をお考えの時には、同時に別の供養方法も一緒に考えるべきなのです。
もちろん、全部を手元に置いておきたい方には必要のないことですが。

前述は「手元供養」を行う前に考えるべき内容でしたが、「手元供養」をした後のことも考えておく必要があります。それが、その「手元供養」を依頼した方が亡くなった時、その遺骨(手元供養品)はどうするのか?誰に託すのか?ということです。

実際に「手元供養」を希望される遺族の方のほとんどが、故人への感謝の想いや、一緒にいたいと強く願って「手元供養」の選択をされています。
そこには、故人と「手元供養」を依頼した遺族の関係性があります。

では、もしその「手元供養」を依頼した方が亡くなった後、その遺骨(手元供養品)は、どうなるのでしょうか。

依頼した方の遺族が、もしそのことを知らなかったら。
それがアクセサリーだったら、誰かに譲ってしまったり、売却されるかもしれません。

仮に、手元供養品であることを知っていたとしても、その遺骨の方との人間関係であったり、たとえご先祖であっても、ひょっとして顔も知らない方であれば、どんな気持ちでその手元供養品を今後守っていけるのでしょう?

このように、「手元供養」を選択される場合、前後に話し合って解決しておかなければならないことがあるのです。

いずれにしても、これは身内や親族のトラブルの種になる可能性があります。

故人への想いから選択した供養方法ですから、トラブルだけは絶対に避けたいですよね。

「手元供養」を望んだ方が、仮に亡くなった後の手元供養品の対処について、事前に話し合っておくことが大切です。

その時の解決法は次の通りです。
①「手元供養」を望んだ方の遺族が承継する。
②「手元供養」を望んだ方を火葬する際に、一緒に火葬してもらう。
③お墓がある場合は、一緒に納骨する。
④お墓がない場合は、永代供養としてお願いする。または散骨してもらう。

いずれにしても、双方の話し合いと理解が必要だと思います。

「手元供養」は、新しい供養の方法です。故人との時間を大切に思い、いつまでも一緒にいたいと願い生まれた供養です。今後さらに別の「手元供養」が生み出される可能性は十分にあると思います。

その想いと同じくらい大切な遺族の方々と想いを共有して、その家庭にふさわしい供養として「手元供養」を選択していただきたいと思います。

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