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佐々木博一

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佐々木博一(ささきひろかず) / 墓石・終活カウンセラー

お墓総合サポートサービス

コラム

海洋散骨のルールと関連法規について

2021年4月1日

コラムカテゴリ:冠婚葬祭

コラムキーワード: お墓お墓参り解体工事

前回、「海洋散骨は違法?それとも合法?」の中で、『どちらでもない』という私の見解をお伝えしました。

現行では散骨に関する法律が存在していないということ。また、現在ある法律(「墓地、埋葬等に関する法律」と「刑法」)に照らし合わせてみても、「葬送のための祭祀を、節度をもって行われる限り問題ない。」と見解を示されていることは、お伝えしましたね。

このような状況の中でも、散骨の問い合わせや、実際に散骨を行っている方は増えてきています。それは都市部だけではなく、地方都市にも広がってきています。

広がりを見せる海洋散骨ですが、法律こそありませんが、ルールを定めてそのルールに従って散骨をしています。

そのルールとは、誰が定めたどんなルールなのでしょう。

ちなみに、散骨は海に遺骨を撒く「海洋散骨」、山林などに遺骨を撒く「樹木散骨」、大気圏外に遺骨を撒く「空中散骨」など行われていますが、「海洋散骨」に特化したルールについて解説していきます。

散骨事業者の多くは、一般社団法人日本海洋散骨協会という団体が海洋散骨についてのガイドラインを作りましたが、それに沿って散骨を行っていることが多いようです。

そのガイドラインを一部紹介します。

①独自に散骨に関する条例を定めた自治体にはその内容に従うこと。

海洋散骨について、条例で禁止している自治体はありません。ただ、ガイドライン、指針といった形で散骨事業者に対しての方針を示している自治体はあります。
(熱海市や伊東市など)

②遺骨を散骨するには、直径2ミリ以下の粉末にすること。

散骨をする際には粉骨(遺骨を細かくパウダー状に粉砕すること)することになっています。もし粉骨せず、火葬したままの遺骨を仮に撒いてしまって、万が一浜辺などに遺骨が打ち上げられたりでもしたら、けして気持ちのいいことではありませんし、事件になってしまいますよね。

③遺骨以外の不純物は取り除くこと(入れ歯や眼鏡など)。

人工的に作られた入れ歯や眼鏡などは、海中では長い時間存在します。故人にとっては大切な遺品だとは思いますが、自然からみると海の汚染につながるゴミとなってしまいます。

④岸から2km以上離れた海上で行うこと。

感情的な側面からのルールだと思います。散骨をされる遺族も、また散骨にはまったく関係のない方にとっても、見たり見られたりすることを避ける意味であると思います。
祭祀の目的で行われていることですが、遺骨を撒くことに嫌悪感を持つ方もいらっしゃいますので、散骨する当事者も理解が必要なことだと思います。

⑤航路、漁場、海水浴場を避けること。

仕事やレジャーで海を利用される方は本当に多くいます。それぞれの海のマナーを守って散骨をすることが大切だと思います。

⑥他の船舶の進路を妨げてはならない。

海上にも陸地(道路交通法)と同様に「海事法規」があります。それぞれの法律を守って、事故のない海の安全を保つことが重要です。

⑦遺灰と共に散布する物は、花などの海中で分解しやすいものを適量とし、ビニール、アルミホイル、プラスチックなどは避けること。

前述③で述べた通りです。

一般社団法人日本海洋散骨協会のガイドラインの解説をしましたが、ガイドラインには特に明記されてはいませんが、散骨をする際のマナーもあります。
よく質問される内容について、質問形式でお答えしていきたいと思います。

【質問1】
海上ではどんな服装をしたらいいのですか?

【回答1】
礼服でもよいですが、着物は避けてください。船は風や波の影響を受けて揺れます。
動きやすいような普段着でよいです。

【質問2】
お酒や飲料は海に撒いてもいいですか?

【回答2】
構いません。ですが、容器は持って帰ってきてください。

【質問3】
船の上で和尚様に読経してもらいたいのですが…。

【回答3】
読経していただいても構いません。住職に依頼、確認をしてください。

何度もお伝えしましたが、散骨を取り締まる法律は現在ありません。また、散骨事業者に対しても、認可や許可などはありません。
つまり、その気になれば誰でも散骨をしたり、または散骨事業者になれるわけです。

ところが、散骨をする際に最も気を付けなければならない法律があります。
それが「海上法規」なのです。

この「海上法規」には、海にまつわる人、船、職業など様々な法律が存在します。
その各法律に則って海洋散骨は行わなければなりません。

散骨事業者の多くは、別会社や、個人の船長、船を手配して散骨を行っているケースが多いです。
散骨事業者が資格や免許を持つ必要はありませんが、船長の持っている資格や、海の上での事業に対して、許可が必要になります。

まず船長が持っていなければならない資格ですが、小型船舶操縦士の他に、「特定操縦免許」という資格が必要になります。これは、車でいうところの二種免許のような資格です。

さらに、「海上運送法」に基づく不定期航路事業等の許可が必要になります。

これらがなければ、船にお客様を乗せて、散骨をして代金をいただく事はできません。

ちなみにですが、「漁船法」という法律があります。その法律において「漁船」の定義があります。そのひとつに「もっぱら漁業に従事する船舶」とあります。

つまり漁業をするための船舶なので、旅客を運送することはできません。なので、漁船では海洋散骨をすることはできません。漁船に乗船できるのは原則として船長や漁業従事者のみで、プライベートで家族等を乗船させることもできません。

旅客を乗船させるためには、船舶安全法に基づいた検査を受けなければなりませんし、検査を受けた上で、旅客の定員を確保し、さらに海上運送法における必要な許認可等(不定期航路事業の許可等)を取得してはじめて、漁船での海洋散骨は法律上可能となります。

このように、海洋散骨については法律や条例の定めは今のところありませんが、海上においての法律を厳守し、また厳守している散骨事業者を指名する必要があります。

益々、海洋散骨が全国で行われるようになると、それに伴って法律ができる日も遠くないのかもしれません。

いずれにしても、海洋散骨をお考えの際には、ガイドラインを遵守して節度とマナーを守る、実績のある散骨事業者を選ぶことが大切なのだと思います。

海洋散骨って知ってますか? https://youtu.be/tyMhQb3XGvM
お墓総合サポートサービス http://ohakasupport.com/

この記事を書いたプロ

佐々木博一

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