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佐々木博一

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佐々木博一(ささきひろかず) / 墓石・終活カウンセラー

お墓総合サポートサービス

コラム

「墓じまい」の前に注意しておくべきこととは…

2020年5月25日 公開 / 2021年3月1日更新

コラムカテゴリ:冠婚葬祭

コラムキーワード: お墓お墓参り

終活に関するご相談を受ける中で、最も多く受けるご相談はお墓やご供養に関することです。
その中でも特に多く話題に上るのが「墓じまい」についてです。

永代供養や散骨、樹木葬など新しい埋葬方法が増える中で、その手前でやらなければならないことのひとつとして、どうしても「墓じまい」の話をしなければならいことが多々あります。

この「墓じまい」について方法や手順をお伝えする前に、まずは注意しておくべきこと、考えておかなければならないことを今回はお伝えしたいと思います。

まず「墓じまい」の定義を確認しましょう。

「墓じまい」とは ・・・ 墓石を撤去、処分すること
             墓地の返納をすること   です。

似たような言葉で、「改葬」という言葉があります。
文字通り、改めて葬るということです。これは簡単に言うと、お遺骨の引っ越しですね。

「墓じまい」すると、そのお墓にはご先祖のお遺骨が収まっていますから、お墓を片付けた後は、必ずそのお遺骨を別の場所や方法で葬ることになります。そのことを「改葬」といいます。

ここで、墓地についても分類を紹介しましょう。
墓地はその管理体制などによって次の4つに分類できます。
①公営墓地  → 市町村役場などで管理している
②民営墓地  → 企業が運営管理している
③寺院墓地  → 菩提寺の住職が管理している
④みなし墓地 → 「墓地埋葬等に関する法律」ができる以前からの墓地で地域で管理している

ところで、お世話になっているお寺を「菩提寺」といいますが、先祖からのお付き合いがあるなどして、お葬式や法要などでお世話になっていると思います。必ずしも、菩提寺が墓地の管理者というわけではないのですね。

「墓じまい」の定義でいう、墓地の返納とは、その墓地の管理者に対して返納の申し出をすることになります。そして「改葬」するときにもそれぞれ管理者(管理部署)が違っています。

管理者が違っていても、「墓じまい」の時に必ずと言っていいほど行わなければならないことがあります。それは「魂抜き」または「抜魂供養」といい、墓石を片付ける前に菩提寺の住職からご供養をしていただくことです。これをしなければ、墓石を片付けたり移動することはできません。

これらのことを踏まえ、「墓じまい」の行動を起こす前に注意しておくべきことを3つお伝えいたします。

①「墓じまい」の意思が決まったらまず菩提寺にお話して進めましょう!→墓地管理者に伝える

「墓じまい」をするということは、先祖からお世話になっていた菩提寺との関係性を断ち切る、ということになります。つまり「離檀」するということです。菩提寺からすると檀家がひとつ減るわけですから、必ずしもいいお話というわけではありませんね。

また、墓地は個人所有の物ではなく、あくまで「永代使用権」という、墓地を永代にわたって使用する権利ですので、今まで使用させていただいたことや、先祖からお世話になってきたことなどを考えると、意思決定を一番最初にお話していただきたいところが、菩提寺です。

後に「魂抜き」を依頼したり、その墓地で石材店が解体作業したりなどがございますので、意思決定と同時にお世話になったお礼の言葉なども添えるとよいでしょう。

②お遺骨の引っ越し先を決めておきましょう!

「墓じまい」した後のお遺骨は、それまでお世話になっていた菩提寺で預かってくれることはまずないと思っていいでしょう。家に置いておくのも・・・。
そうならないためにも、お遺骨の引っ越し先を事前に調べたり、お願いしておくことはとても大事なことです。

今までお世話になっていた菩提寺またはその他寺院の永代供養、樹木葬や海洋散骨などの自然葬、先に述べた各種墓地など、今は選択肢が豊富にありますので、今後の無理のないご供養を続けていけるような方法で「改葬」先を決めておきましょう。

③大切な方(身内・親族)には事前にお話ししましょう!

実はこの3つ目が一番重要だと思っています。

「墓じまい」をする最終的な決定権は、実際に墓守りをしている方だと思います。

ですが、そのお墓に埋葬されているのは自分の親や祖父母ではないでしょうか。自分から見て親の兄弟(おじさん、おばさん)からすると、親が埋葬されていたり、自分に兄弟がいるなら、その兄弟にとっても両親が埋葬されています。
なんの報告もなく、お盆などにお墓参りに行って、突然墓石が無くなって墓地が更地になっていたら?
「お墓はどうしたの?」「遺骨は何処に行ったの?」「なんで教えてくれなかったの?」
間違いなくトラブルになります!それがきっかけで、疎遠になったケースもございます。

お墓を守っていくことが困難になってきていることは、最近では珍しくなくなってきています。近い親戚や仏様の近いお身内には、菩提寺に話すよりもまず最初にお話してみて下さい。そこで意思決定がなされたら、菩提寺に話すという順序が好ましいと思います。

親族に話すことによって別な方向性が出てくることもございます。
過去にこんな例もありました。
嫁に行った娘から、永代供養に収めるより亭主の墓地に収めたい、亭主の実家も了承している。結果、「改葬」して嫁に行った先の菩提寺に収まることになりました。
レアケースだとは思いますが、実際にあった出来事です。

以上、「墓じまい」の前に注意すべきこと、3つをお話いたしました。

①「墓じまい」の意思が決まったらまず菩提寺にお話して進めましょう!→墓地管理者に伝える

②お遺骨の引っ越し先を決めておきましょう!

③大切な方(身内・親族)には事前にお話ししましょう!

次回は「墓じまい」の手順などについてお伝えしたいと思います。

YouTubeにも「墓じまい」ってどうしたらいいの? の動画をアップしております。
更に詳しくお知りになりたい方はこちらもどうぞご覧になってください。
https://youtu.be/Toz52JX5BDQ

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