権利関係や取引条件が難しい不動産に関する問題も、30年以上培ってきた知見と誠実な姿勢で対応（2/3）

依頼者の要望に応えるため、接道義務や任意売却など目の前の障壁を一つ一つ取り除くことが役割

　不動産の利活用においてはさまざまな課題に直面しますが、適切に対処するノウハウを備えているのが、原さんの強みです。そこにはこんな苦労も。

　「売り主は、不動産を買い主に売却して代金を受領すれば、それで終わります。一方、買い主は購入した不動産の利用目的を達成しなければなりません。例えば、家を新築または既存住宅に居住する場合です。ある土地は、水道管の所有権と土地に面した道路の通行権がない上に、上空の電線の架け替えも必要でした。調整区域内のため、行政から開発許可を受け、電線の架け替えを行い、水道管と私道の所有者に折衝して所有権と通行権を確保し、取引を完了させました」

　また、住宅ローンを返せなくなった場合についても言及します。
　「月々の返済が滞るとマイホームを手放すことにもなりますが、金融機関から同意を得て任意売却するのも一案です。任意売却だと市場価格に近い金額で売ることができるからです」

　千葉県に住む人から「相続した家が差し押さえになり売却したい」と頼まれ、家財道具を処分したこともありました。誰も住んでいないため、家はごみ屋敷同然。依頼者が千葉を離れられないことから、印鑑証明書や委任状などの必要書類を送ってもらい、自動車やバイクを第三者名義に換えて廃車に。滞納していた固定資産税を売却代金から支払うなど、サポートしたそうです。

　「お客さまの要望に応えるために、一つ一つの障壁を取り除いていくのが役目。一筋縄でいかないこともたくさんありますが、やり遂げた後の安堵感が何とも言えません」

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