住宅や店舗など施主の夢を形にし、「地域から求められる建物づくり」を目指す（2/3）

丁寧なコミュニケーションで家族全員の意見をヒアリングし、プランに反映

　千代谷さんのもとに寄せられる依頼は、実に個性豊か。施主の思いをくみ取り、オーダーメードで仕上げるため、一つとして同じものはないそう。

　「例えば、車関連のご職業に就いているお客さまは、『家の1階の大部分を車庫にして、マイカーをそばに置いて暮らしたい』とお望みでした。ねぶた師のお弟子さんは、『自宅で人形灯籠を作りたいので、広い作業場がほしい』というオーダー。ご趣味やお仕事を生活のメインに据えたいというお客さまが多いですね」

　規格外の特殊な注文に対応するのは容易ではありませんが、構造や設備まで自ら図面を引くからこそ、機能性を追求できると言います。

　「柱や壁を減らして開口部を大きく取ると、耐震性や省エネ性をクリアするのが非常に難しくなります。安全性を確保するのはもとより、寒冷地の青森で冬場に寒さをしのぐことも大事ですから、扉や窓の性能などを調査して条件を満たします。費用がかかる場合もありますが、お客さまの納得がいくよう、細部まできちんと計算してご説明します」

　生涯にわたり過ごす大切な住まいの満足度を高めるにあたり、施主とのコミュニケーションも丁寧に行います。

　「お客さまの希望を予算内で実現するため、必ず最初に優先順位をヒアリングします。また、ご主人が主導している場合でも、奥さまや子どもさんのご意見も随時伺うよう心掛けています。ご家族みんなの意思をプランに反映する重要性は、私がマイホームを建てる際に、家庭内で相談する中で学んだことです」

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