有料老人ホーム 家族の思い
ある隣県の知り合いケアマネジャーから聞いた話です。
要介護5(認知症、脳血管障害片麻痺で車いす、80代後半)のAさんとその息子のBさんで生活されている生活保護世帯。
Aさんの担当ケアマネージャーに警察署から夕方、電話がありました。
「Bさんが窃盗で逮捕されました。」
一大事です。Aさんはデイサービスから帰って、一人自宅で、Bさんの帰りを待っている状態です。
担当ケアマネとその上司(居宅介護支援事業所管理者)は、Aさん宅に向かいながら、市役所福祉課、地域包括支援センターに電話をして、助けを求めたそうです。
市役所「そうですか?でも、僕たちは何もできません…」
地域包括支援センター「それは大変ですね~。どうしますか?」
居宅管理者が、「Aさんの命にかかわる状況ですが、緊急で動いてもらえないのですか?緊急ショートステイや病院への緊急入院を市や地域包括支援センターの権限で…なんとか!」と必死に市役所、地域包括支援センターに電話で訴えても、両者とも他人事…そんな雰囲気だったそうです。結局、その日は、市役所からも地域包括支援センターからも折り返しの電話は無かったそうです。
さて、Aさん宅に到着したケアマネと管理者です。
自宅に入ると車いすに座るAさんがいらっしゃいます。時刻は18時半…
Aさんに断り、生活状況を確認すると、米びつには一粒も米はありません。冷蔵庫には水が少しだけ。食べられる食品は何一つありません。砂糖も空。塩は少し…管理者の判断で、米や菓子パン、食料を少し購入して差し入れる事に…そうこうしているうちに警察官が自宅にやってきました。
警察官「要介護5のお母さんがいるとBから聞いたので、様子を見に来ました。市役所も何も動いてくれないのですか?困りましたねえ。上司と相談してきます。ケアマネさん、もう少しここに居てくれますか?」
と言って、警察官は警察署に戻っていきました。時刻は19時半…
ケアマネさんと管理者は、Aさんに差し入れた食事を食べてもらい、トイレ介助して待つことに…
しばらくして、警察官がBさんを連れて、自宅に戻ってきました。本来なら拘留されるはずですが、事情を考慮して特別に自宅に戻ることを許されたそうです。警察官は、カップ麺をいくつか紙袋にいれて「少しですが、食べてください」とAさんに差し入れしてくれました。時刻は21時半…
Bさんは生活に嫌気がさして、自暴自棄になって窃盗して逮捕されたそうな…
福祉に直接関わる市役所福祉課や地域包括支援センターよりも警察の方が心優しい…福祉マインドがあった…というお話でした。
ケアマネジャーの報酬は月額報酬です。こうした時間外の対応をした場合、居宅介護支援事業所(会社)は担当ケアマネジャーに残業として給与を支払う義務はあります。ただ、居宅介護支援事業所(会社)に国(市町村)から支払われる残業代はありません。
ケアマネジャーの苦労が浮き彫りになるケースです。そして、市役所や地域包括支援センターの逃げっぷりが良すぎるのがイラっとします!公的機関は、こういう問題から目を背けて欲しくないです。