高齢者 歩行困難
介護保険の認定は要支援2で、独居しているお母さんの面倒をみている娘さんからのご相談です。
約1年前に右大腿骨(足の付け根)を骨折して、半年近く入院生活を送り、在宅復帰できた方です。歩行に不安定な面はありますが、週2回、デイサービスでお風呂に入り、訪問リハビリも利用し、近所の友人に買物に連れて行ってもらいながら、なんとか一人暮らしが成り立っています。
もともと2階がご本人の居室でしたが、退院を機に「階段が急なので、2階への昇降はやめましょう」という約束を退院後のサービス担当者会議(在宅生活を支えるための介護関係者の話し合い)で決まったのですが、半年経過して、とうとう、本人が2階まで階段で上がってしまい、娘さんが「階段は駄目」と説得しても本人が納得しなくて困っている…という相談でした。2階に上がれない様に柵(ベビー用)をしていたのですが、娘さんが訪問した時に、うっかり柵の鍵をかけ忘れたのがきっかけです。
「自分は、もう階段を上り下りできるのに、なぜ禁止されている!」と、お母さんは激高されているそうです。
ケママネとして、以下のようにアドバイスさせてもらいました。
「ご家族の価値観の問題です。我々、専門職はリスク回避する事を提案しますが、本人にとって望ましい生活にはなり得ません。ご本人の強い希望で階段を使用して、仮に転落したとしても…運命…とする考え方もあります。実際、本人のやりたいようにさせます!という家族さんも結構いらっしゃいますよ。本人さんと娘さんでよく話し合ってください…正解は正直分かりません」
娘さんの「また転んで骨折したら…」という気持ちも分かります。お母さんの「何十年と過ごしてきた自分の家で自由に生活できない!!!」という憤りもよく理解できます。
ケアマネジャーだからと言って、なんでも白黒つける必要はありません。価値観って、いろいろありますよね…