お仏像の中にお仏像
こんにちは。旭物産の成田です。
今日はお裏書点検についてお話しします。
「お東」と「お裏書点検」
わたしが毎日お参りしているお仏壇には、約370年前に作られたお仏像を
ご本尊様として安置しています。
このご本尊様はお東のお裏書点検を受けたらしく、その証書が見つかりました。
証書は何代も時代を経て変色し、ボロボロになっていましたので、
愛知県立芸術大学にお願いして表装をし直し、今も大切に保管しています。
さて、この「お東」「お裏書点検」という言葉を「聞きなれない」と感じた方も多いでしょう。
「お東」とは「真宗大谷派」のことです。
仏教はいろいろな宗派に分かれていますが、
中でも門徒が一番多いのは浄土真宗です。
浄土真宗では、京都駅の近くにある浄土真宗東本願寺が真宗大谷派、
京都の西に位置する西本願寺が本願寺派と、それぞれ別の宗派を名乗っています。
真宗大谷派が「お東」、本願寺派が「お西」というわけです。
そして「お裏書点検」ですが、ご本尊様に「お裏書」を入れることです。
「お裏書」というのは、お軸(掛け軸のこと)やお仏像の裏に書かれているご門主のお名前や、押されている判などのことです。
ご門主とは東本願寺のご住職のことです。
わたしはお仏像をご本尊様としてお仏壇に安置していますが、
仏様などが描かれたお軸をご本尊様として安置することもできます。
「お裏書点検」は、こうした「お裏書」をご本尊様に入れることで、
古い「お裏書」を見ると、ご門主のお名前からご本尊様を安置した年代などがわかります。
ご本尊様のルーツを知るわけです。
これを知ると、安置したご先祖様に思いを馳せることもできます。
それで自分自身もご本尊様を大切に受け継いでいこうという気持ちを再認識することにもなります。
自分なりの供養
お迎えするご本尊様のお裏書は、お東、すなわち真宗大谷派でしてもらうことができます。
わたしはお仏像を提供する側として、お東のお裏書点検に立ち会ったことが何度かありますが、
このことはあまり知られていないのかもしれません。
もともとは、お東では旦那寺からお軸を手配してもらって、
そのお軸をお仏壇に安置するというのが一般的でした。
ちなみに旦那寺とは、普段お布施をしたりする、檀家として所属しているお寺のことです。
檀家として所属し、さらにお墓があるお寺は菩提寺と言います。
お東のお仏壇の中にお軸が掛けてあるのを
みなさんも見慣れていると思います。
しかしながら現代では、お仏壇を買われたとき、
ご本尊様としてお軸ではなくお仏像を選ばれる方も増えてきているのではないかと思います。
それは、旦那寺とのつながりが希薄になったために
お軸を手配してもらうことがなくなったのか、
お仏壇の中にお迎えするものがご本尊様だけではなく、
お気に入りのお位牌だったり、選択肢が増えてきているからかもしれません。
お仏壇には何をどのように安置しなければならない
という正式な決まりごとがあるのかもしれませんが、
昨今は、そういう宗教的なことよりも、
亡くなった方を自分なりに供養したいという気持ちを
大切にしている方が増えているように感じます。
どちらにせよ、お参りする方がどのようにしたいかの選択肢が増えている、
ということなのかもしれませんね。
そんなわけで、お東のお仏壇にご本尊様としてお軸が掛けられている風景は見慣れているものの、
お裏書のことまではあまり知られていないのかもしれません。
お裏書点検の手順
さて、ご本尊様としてお仏像を選ばれたとしても、
ご本尊様にふさわしいお仏像でないとお裏書点検をしてもらえません。
ふさわしいというのは、お東(東本願寺)のご本尊様の様式に準ずるものであること、と言われています。
なので、どんなお仏像でも良いというわけではなく、お東の阿弥陀様特有の彫刻がしてあり、
一定以上のクオリティが必要というわけです。
実際のお裏書点検はどのような手順かということを
簡単に説明します。
お裏書点検には審査があります。
審査にはまず、一次審査があり、それは写真判定で行われます。
つまり、お仏像の写真を見てもらうのです。
これは、みなさんそれぞれの旦那寺が所属する地区の宗務所と、みなさんとのやりとりになります。
宗務所がどこなのかは旦那寺で教えてくれるはずです。
ここで、対象のお仏像がお裏書点検の基準に達していない場合は、ご指導をいただく場合もあります。
一次審査を通過すると次は二次審査として東本願寺に出向き、ご本尊様にお裏書をしてもらうことになります。
このとき、お仏像を持ってご自身で本山に行かれるわけですが、
お仏像を買われた小売店の方といっしょに行ったほうが心強いかと思います。
ですから、前提としてお裏書点検を受けたい場合は、まず小売店さんでお仏像を購入していただく必要がある
ということになります。
このとき、お東のご本尊様の様式に準ずるものであることも確認して購入しましょう。
もし、お裏書点検を受けるお仏像について、どこの小売店さんに頼んで良いかわからない場合は、
わたしからもご紹介させていただくこともできますので、お気軽にお問い合わせくださいね。
それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
また次回お会いしましょう。