マイベストプロ愛知
成田光俊

仏像の修復や販売の専門家

成田光俊(なりたみつとし) / 仏像修復

旭物産株式会社

コラム

お仏壇が必要になった世代

2023年1月30日

テーマ:仏像屋の思い

コラムカテゴリ:くらし

こんにちは。旭物産の成田です。

今日は、先日「マイベストプロ愛知」の「お客様の声」でご紹介したお客様のお話です。

実は、最初お問い合わせをいただいたとき、わたしはひそかに驚いていました。
なぜなら、お客様のお名前が旧友と同じだったからです。
まさかと思いながらお客様とお話をしているうちに、それは確信になりました。
まさしく旧友だったのです。

お話を聞いていくと、去年(2022年)お父様を亡くされ、相続などの手続きを終えられたところだったそうです。
わたしと同学年で、うちも昨年10月に父を亡くしていたので、お互いいつの間にか親を亡くす歳になったものだと、長い時の経過を改めて実感したのでした。



お仏壇を新調


さて、そのお客様は我が社のウェブサイトを見て、そこに載っていたお仏像のお顔に魅力を感じてくださったということでした。
もともとお客様のお家にはお仏壇があったのですが、そこにはお軸(掛け軸のこと)を飾っていたそうです。そのお仏壇を新調し、同じタイミングでご本尊様をお仏像にしたいというご要望でした。

そのお家の宗派はお東(浄土真宗大谷派)だということでした。お東のしきたりでは、お仏像をお仏壇に飾っても良いかというご質問もいただきました。
一般的にお東ではご本尊様はお仏像ではなく、お軸を飾るのが通例になっています。
このお軸は旦那寺から手配してもらう、もしくは旦那寺からの指導で仏壇屋さんで購入する運びになります。
ちなみに旦那寺とは、普段お布施をしたりする、檀家として所属しているお寺のことです。

ただ、最近はお東でもご本尊様にお仏像を選ばれる人が多くなっています。
故人を供養するとき、比較的自由なスタイルを選択できるようになった、ということなのかもしれません。
もちろん地域によっては、旦那寺の指導の下、指定のお軸をお迎えする習わしが根強く残っていることもあります。
そのあたりは旦那寺に聞いてみるのが良いかと思います。

子どもに迷惑をかけたくない


ところで、最近ある仏壇販売店の方から聞いた話なんですが、お仏壇が必要になった世代は「子どもに迷惑をかけたくない」という理由から、小さいお仏壇をお求めになる人や、お仏壇は必要ないと考える人が多いそうです。

お葬式や介護などで「子どもに迷惑をかけたくない」という人が増えていると言いますから、それと同じ親心からくるのかもしれません。
ですから、一概に否定するようなことではないと思います。

ですが、逆の立場、つまり子どもの立場からすると、必ずしも「親の買った仏壇を引き継ぎたくない」とか「供養したくない」と思っているわけではないと思うのです。
お仏壇を買う親御さんが、自分たちの亡き後「どうしたいのか」を子どもに聞かずに、仏壇屋に足を運んでいるのではないでしょうか。

その仏壇販売店の方は、ご自身は長女ということでしたが、もし自分の親が相談せず、自分に遠慮してお仏壇を残してくれなかったら、それはさみしいとおっしゃっていました。
子どもたちが「親の供養を継がせてほしい」と思っている場合もあるので、ご自身が接客するときも、まず親子間でコミュニケーションを取るようにお勧めしているということでした。

ご先祖様に思いを馳せる


さて、話を戻します。

今回のお話のお客様は長女であり、お父様が亡くなってお家のご当主になられ、しかもご自宅にはすでにお仏壇があり、ご本尊様としてお軸を飾っていました。
お父様の供養を考えたとき、お仏壇を新調し、ご本尊様をお仏像にしたいと思われ、わたしのところにお問い合わせをくださいました。

家を継がれる方にとっては、自分のルーツというものを改めて考えるきっかけになるのがお仏壇なのかもしれませんね。
ちょうど退職されたタイミングもあって、今までよりもご先祖様やお仏壇について考える時間が増えたそうです。
ご先祖様というと遥か遠い昔のお話のようで、なかなかイメージできないかもしれませんが、親や祖父母という直近の代のことならイメージしやすいでしょう。


もしかするとこのお客様の場合は、お父様を供養したいという気持ちのほうが、ご先祖様への供養より大きかったかもしれません。
それに、今までお参りしてきたお仏壇を改めてまじまじと見る時間ができたので、お仏壇をきれいにして供養したいとも思われたのでしょう。
どちらにしろ、お父様を供養することは、引いてはご先祖様の供養にもつながるのです。

ご先祖様を大切にしよう


こうして今回のお客様に買っていただいたお仏像は、うちのお仏像の中でも一番高級な、截金(きりかね)という技術を用いたお仏像です。
截金という技術については、話が長くなりますのでまたの機会にお話ししようと思います。

その截金のお仏像に合わせ、お仏壇も新調されました。
「最近は高いお仏壇が売れない」と嘆く仏壇屋さんも多いと聞きますが、必ずしもすべての人が、お仏壇は必要ないとおっしゃったり、安いお仏壇しか欲しがらないというわけではないと思います。
かと言って、お仏壇やお仏像を買えば、良い供養ができるかというと、そういうものでもないと、念のために言っておこうと思います。





とにかく今回の件で、家を継ごうと決心された方はお仏壇やご本尊様のことを大切に考えるようになるのだなと、再認識しました。
お仏壇やご本尊様を通して、ご先祖様を大切にしようとする使命感を持つのではないかと思います。

それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
また次回お会いしましょう。

この記事を書いたプロ

成田光俊

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成田光俊(旭物産株式会社)

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