仏像修復の種類(2)
こんにちは。旭物産 成田です。
お仏像を修復するタイミングはいつだと思いますか?
結論からいうと、「やろうと思ったとき」です。
当たり前の話かもしれませんが、
お仏像を修復する日取りは決まっていませんし、
そもそも修復してもしなくてもいいと思います。
ところで、家にある古いお仏像は自分が買ったものではありませんよね。
100年前とか300年前とか自分が生まれる前からずっと家にあったものです。
そのお仏像は先代から何代にも渡りずっと継がれ、
いわば自分に託されたバトンのようなものです。
このバトンというものはいわゆる自分のルーツそのものだと思いませんか。
たとえば、生まれや育ち、文化、習慣などその家でずっと継がれていたけれど、
見えない大事なことが託されています。
それは、たとえ自分にとって受け取り難いことであっても、
その家に生まれたからには受け取らなくてはいけません。
この、受け取り難いものも含めて先祖から受け取ったと感じた時、
先人たちへの感謝の気持ちが深まるのではないでしょうか。
感謝の気持ちというものは、
自分がいまここに存在していることで実感できているようなものです。
わたしはお客さまがこの、感謝を感じた時に、
仏像を修復しようというご意思が生まれたのだと思うのです。
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そうはいっても、
実際にお仏像を修復するタイミングはいくつかあります。
今日はその中の一つをご紹介しようと思います。
それは、代々受け継いだ古い仏壇を洗濯(修復)されるタイミングで
ご本尊を修復されるパターンです。
あるお客さまは、ご子息は県外でお仕事をされているので
実家に戻って家を継いでくれるかどうかまだわからないけれど、
自分の代でお仏像の修復を決意されました。
古いお仏壇もけっこうな大きさだったので
お洗濯された後の佇まいはそれはもう荘厳なものでした。
ご本尊はそんなお仏壇に相応しい大きさで
これもまた修復すると新品かのように光輝くのですね。
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少し話がそれますが、
このご本尊は350年前のものらしいということが
胎内から見つかった文書に書いてありました。
修復した後は、見た目が新品のようになりますが、
部品はほぼすべて350年前のものがそのままです。
そのうえ、うちのお仏像を修復では、
見えないところで部品の強度の補強もキチンと施しますので
350年たったお仏像も胎内年齢がリセットされるかのように若返りますよ。
ですから、この先の100年200年も
この家を見守り続けてくれるのではないかと思います。
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話を戻します。
このお客さまはご子息が後を継いでくれるかわからない
とおっしゃっていましたが、
お父さまがお仏壇やお仏像の修復をされた姿を見られると、
自分も家を継いでいこうというふうに自然とこころはお決められ、
このお宅は未来永劫続いて行かれるんだろうな、
そんなふうなことをわたしは実感しました。
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ということで、
お仏像を修復するタイミングはいつかというと、
「やろうと思ったとき」です。
その中で実際にあてはまるパターンの一つが
「お仏壇を洗濯(修復)するとき」でした。
このパターンはいくつかありますので、これからのコラムでも
ひとつづつお話しさせていただこうと思います。
どうぞお楽しみに。
それでは、本日もお読みいただきまして
ありがとうございました。
また次回お目にかかりましょう。