話す、ということ、の意味。面談や会議だけでなく、もう少し幅を広げると、、、(2018.7.14)
感情労働についてまとめてみました。
気を付けないとなあ、と思います・・・。
【定義と特徴】
感情労働とは、自分の感情をコントロールしつつ、相手(顧客や患者)にポジティブな働きかけをして報酬を得ていく労働です。感情が労働内容の不可欠な要素であり、かつ適切・不適切な感情がルール化されている労働のことで、肉体や頭脳だけでなく「感情の抑制や鈍麻、緊張、忍耐などが絶対的に必要」である労働を意味します。求められる一定の感情表現があり、その表現が業務の質や成果を決めます。「人」が業務の対象になるというのも特徴です。
肉体労働や頭脳労働に並ぶ、労働の分類とされています。この感情労働の概念は、アメリカの社会学者であるA・R・ホックシールド氏によって提唱されたものです。
【求められるスキル】
どの職種にも、高度なコミュニケーション能力が求められます。そのコミュニケーションの中で、自分自身の内面の感情を問わず、求められる感情表現をしなければならない仕事です。感情コントロールのスキルを身に付けておく必要があります。言い換えると、演技するスキルといえるのかもしれません。
また、人と関わる業務では相手を理解し親身になることも大切ですが、「自分」と「関わる顧客」の境界を保つメンタルも重要です。これにより、冷静に適切な対処が可能になるのです。
【感情労働が増える背景と重要性】
ビジネス競争は世界的に激化し、顧客の感情を誘発するサービス的な要素が十分でないと顧客の獲得は難しくなっています。現代の多くのユーザーは、すでに物質的には不自由がありません。求められるのは心理的な価値提供であり、それが顧客満足のキーとなります。
【感情労働における働きがいと問題点】
感情労働への関心や懸念が高まっていますが、感情労働と呼ばれる労働にも独特の働きがいはあります。その働きがいが、顕在化している問題と紙一重の関係性をもっています。
■働きがいについて
感情労働に魅力ややりがいを感じている人は少なくありません。人の役に立つ、困った人を助ける、人を笑顔にする仕事だからです。加えて、人の喜びや幸せといった感情に直に触れることのできる仕事でもあります。
人との関わりに重きを置き、気遣いや心配りの魅力や効力を知る人にとって、感情労働の仕事は、他の仕事では味わえない醍醐味をもたらします。自分が相手の命、仕事、生活、将来に大きく関わり、貢献している実感がもてるのです。その実感の蓄積が、感情労働のモチベーションと能力を向上させていきます。
■問題点
感情労働の問題点は、仕事でのストレスが他の労働と比較して回復しにくいことです。肉体疲労は身体の休息、頭脳的疲労は脳を休めることで対処できます。ところが、感情に関わることは仕事とプライベートの切り替えが難しく、ストレスが解消しづらいです。
感情労働のストレスとは、自分の感情とのギャップで起こります。相手を不快にさせないように、もしくは、喜んでもらうために完全に自分の感情を押し殺すことも少なくありません。
感情労働者も一人の人間ですから自分の感情があります。それにも関わらず、業務に携わる時間は、まるで自分ではないかのような一律の感情表現を求められます。それもロボット的な対応では困ります。悲しくてもニコニコ、疲れていても明朗快活、好印象を与えることに集中しなければなりません。つまり、常に「こうあるべき」というルールに従っているのです。
さらに、クレームや批判など相手の不快に接することもあります。そのとき感情労働者の心理に大きなストレスが生じることは、人間であればごく当たり前のことです。しかし、そのような場合でも、自分の感情は抑えて対処しなければなりません。
これが毎日、毎時間になる職種もあります。どれだけ耐性があっても、ストレスが溜まる可能性に常にさらされているのです。
【感情労働における「バーンアウト」】
演技はは感情労働には欠かせない要素です。ただ、それが過剰となり限界を超えると、バーンアウト(燃え尽き)を引き起こす可能性があります。重度のうつ病にも発展する可能性のある症状です。
バーンアウトとは、それまで精力的に業務に取り組み、高い実績を上げているような人が、あるときから人が変わったように無力感に襲われ、それが行動や言動にもあらわれてくる症状のことです。仕事を含め、何ごとにも無関心で、著しい意欲の低下が見られます。
感情を抑制することを常に強いられると、無意識のうちにストレスを蓄積します。常に自分で感情をコントロールしなければならないという点で、すでに大きなエネルギーを使っています。限界に達すれば、コントロールをする力を失ったり、混乱したりしても何ら不思議なことではありません。
【ケアの方法】
感情労働者に対するケアの一環として、職場のコミュニケーションを促進する施策、相談できるカウンセラーを設置する企業も増えています。
問題がある場合にもスムーズにケア対応できるルートを整備されることをおすすめします。早期発見が事態の重大化を防ぎ、従業員の安定した勤続、企業にとっての人材確保につながります。
また、本人がストレスに気づき、こまめに軽減できるよう、組織内のルールを見直していくことも重要です。企業は、従業員が「ストレス過剰になってしまう前の対処」に全力を注ぐべきでしょう。
参考サイト)RELO総務人事タイムズ