マイベストプロ、始動!(2018.3.26)
人に何かを薦める、ということ。
許光俊さんの連載「音楽の誘拐」
(季刊ステレオサウンド)より(抜粋、改変しました)
他人にものを薦めるのは難しいものである。
友人から薦められた本が面白くなくて返したら、
とても不満そうな顔をされたことがある。
以来、気まずくなってしまったエピソード。
ある女性から小説を借りたが、それがくだらなく、
以来、その女性への関心が消えたエピソード。
薦めるとは、意識しないで自分の本性や程度を
さらしてしまうことである。
薦めるとは、実に怖いことだ。
薦める人間と薦められる人間の真剣勝負である。
互いの人生や経験を背景にした対決である。
ところが、ほとんどの場合、
双方ともそんなことなど露ほども思っていないから、
時として感情的な摩擦が起きてしまう。
薦めるという行為は、
正直にやろうとすればするほど、ややこしくなる。
自分が好きなものが相手にとってよいとは限らないし、
デメリット等も含め伝えようとすると、
情報量もかなり多くなる、など。
店のおススメとは、古い食材を出されたり、
売り出し中の商品を薦められたと、
客を馬鹿にしているようなものもある
本当は、お薦めなどというものは、
気心が知れた者どうしが、
相手の好みや経験や懐具合も勘案しながらすべきことなのだ。
薦めるほうは、過度な期待をしないことである。
他人の好みはどうにもしようがない。
気に入られなくても当たり前くらいに思って薦めたほうがいい。
薦めるということは、相手の心の中に入っていくということだ。
薦めるということは愛にほかならない。
誰かに対して、幸福を分かち合いたいという愛がある。
薦められる人への愛、薦められるものへの愛、
どちらの愛も欠けている推薦は、ただの宣伝でしかない。
たとえ薦められたものが気に入らなくても、
その愛が感じられれば、それはそれでなにがしかのことだ。
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なるほどなあ、と思います。
仕事上で関わる、ケアマネが利用者・家族にサービスを紹介したり、
デイサービスがケアマネに自サービスについて広報したり、
法人が職員紹介を職員に期待したり、と、
「推薦」ではないですが、「
紹介」「広報」にも似たところがある、と思います。
僕は、「紹介」には「責任」が伴う、と思っていたので、
この「薦める」の記事を読んで、
ずっと抱えていたモヤモヤが晴れるようでした!