人に何かを薦める、ということ。(2019.3.9)

榊原宏昌

榊原宏昌

テーマ:日々の仕事から



人に何かを薦める、ということ。

許光俊さんの連載「音楽の誘拐」
(季刊ステレオサウンド)より(抜粋、改変しました)

他人にものを薦めるのは難しいものである。

友人から薦められた本が面白くなくて返したら、
とても不満そうな顔をされたことがある。
以来、気まずくなってしまったエピソード。

ある女性から小説を借りたが、それがくだらなく、
以来、その女性への関心が消えたエピソード。

薦めるとは、意識しないで自分の本性や程度を
さらしてしまうことである。
薦めるとは、実に怖いことだ。
薦める人間と薦められる人間の真剣勝負である。
互いの人生や経験を背景にした対決である。
ところが、ほとんどの場合、
双方ともそんなことなど露ほども思っていないから、
時として感情的な摩擦が起きてしまう。

薦めるという行為は、
正直にやろうとすればするほど、ややこしくなる。
自分が好きなものが相手にとってよいとは限らないし、
デメリット等も含め伝えようとすると、
情報量もかなり多くなる、など。

店のおススメとは、古い食材を出されたり、
売り出し中の商品を薦められたと、
客を馬鹿にしているようなものもある

本当は、お薦めなどというものは、
気心が知れた者どうしが、
相手の好みや経験や懐具合も勘案しながらすべきことなのだ。

薦めるほうは、過度な期待をしないことである。
他人の好みはどうにもしようがない。
気に入られなくても当たり前くらいに思って薦めたほうがいい。

薦めるということは、相手の心の中に入っていくということだ。

薦めるということは愛にほかならない。
誰かに対して、幸福を分かち合いたいという愛がある。

薦められる人への愛、薦められるものへの愛、
どちらの愛も欠けている推薦は、ただの宣伝でしかない。
たとえ薦められたものが気に入らなくても、
その愛が感じられれば、それはそれでなにがしかのことだ。

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なるほどなあ、と思います。
仕事上で関わる、ケアマネが利用者・家族にサービスを紹介したり、
デイサービスがケアマネに自サービスについて広報したり、
法人が職員紹介を職員に期待したり、と、
「推薦」ではないですが、「
紹介」「広報」にも似たところがある、と思います。

僕は、「紹介」には「責任」が伴う、と思っていたので、
この「薦める」の記事を読んで、
ずっと抱えていたモヤモヤが晴れるようでした!

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榊原宏昌
専門家

榊原宏昌(経営コンサルタント)

天晴れ介護サービス総合教育研究所

介護職、ケアマネジャー、管理者・本部責任者として15年間介護現場の実務とマネジメントを担当。その経験を生かし、経営幹部、管理者、ケアマネジャー、介護職らに実践的で明快なコンセプトとノウハウを提供する。

榊原宏昌プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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