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榊原宏昌

介護現場をよくするコンサルタント

榊原宏昌(さかきばらひろまさ) / 経営コンサルタント

天晴れ介護サービス総合教育研究所

コラム

遅ればせながら・・・昨年11月の財政制度審議会の建議から、介護と医療に関する内容の要点をまとめました。(2019.2.4)

2019年2月4日 公開 / 2019年2月5日更新

テーマ:日々の仕事から

コラムカテゴリ:医療・病院



遅ればせながら・・・昨年11月の財政制度審議会の建議から、
介護と医療に関する内容の要点をまとめました。

平成31年度予算の編成等に関する建議
平成30年11月20日 財政制度等審議会

(2) 介護
① 制度の持続可能性を踏まえた社会保障給付範囲
(軽度者へのサービスの地域支援事業への移行)
基準を緩和したサービスや住民主体のサービスへの移行を基本とする
要介護1・2の者に対する生活援助サービス等について

② 必要な保険給付の効率的な提供
(介護費の地域差縮減に向けた取組の一層の強化)
(保険者機能強化のためのインセンティブ付与の在り方)
(在宅サービスについての保険者等の関与の在り方)
在宅サービスについても、総量規制や公募制などの
サービスの供給量を地方公共団体がコントロールできる仕組みを検討
(地域医療構想を踏まえた介護療養病床等の転換)
(介護事務所・施設の経営の効率化)
介護サービスの経営主体の統合・再編を促す施策を講ずるべき
(介護現場の生産性向上)
人員・設備基準の緩和といった制度改革や介護報酬改定に反映していく必要
(介護事業経営実態調査等の精度向上)
(介護報酬改定に係る PDCA サイクルの確立)
介護報酬上の加算等の効果に関する客観的なエビデンス
(ケアマネジメントの質の向上と利用者負担)

③ 高齢化や支え手減少を踏まえた給付と負担の見直し
(介護保険の利用者負担)
利用者負担を原則2割とするなど段階的に引き上げる必要
(在宅と施設の公平性の確保(補足給付))
補足給付対象者の資産状況の実態調査等を通じてその実像を把握し、
現行の補足給付の要件等について見直しを検討
(在宅と施設の公平性の確保(多床室の室料負担))
平成 27 年度(2015年度)介護報酬改定において、
特養の多床室の室料負担を基本サービス費から除く見直しを行ったが、
介護老人保健施設、介護療養病床、介護医療院については、
室料相当分が介護保険給付の基本サービス費に含まれたまま

(1) 医療
① 平成 31 年度(2019 年度)予算編成の課題
今般の消費税率の引上げに伴い、
医療機関等が負担する仕入税額相当額について、
診療報酬で適切に補填するに当たっては、
イ)医療保険制度内での対応とすること、
ロ)総額において医療機関等が負担する仕入税額相当額の範囲内での対応とすること、
ハ)各科間、診療所・病院間(病院部門は更に
各類型(特定機能病院など)間)において、
各々の仕入税額相当額の総額に基づき財源配分を行った上で、
更に各類型の中で看護配置基準別のデータも用いるなど、
できる限り精緻な対応とすること
といった点を基本的な考え方とすべきである。

② 医療保険制度改革
イ)制度の持続可能性を踏まえた社会保障給付範囲
(保険収載の在り方)
安全性・有効性に加え、
経済性の面からの評価も踏まえた上で、
新たな医薬品・医療技術については、
保険収載の可否も含め公的保険での
対応の在り方を決める仕組みとしていくべき
(費用対効果評価の活用)
原価計算方式で算定された医薬品については、
費用対効果評価を義務付け、費用対効果
が悪いものについては、保険収載を見送るか、
公的保険として対応するのであれば、
公的保険として受け入れ可能な水準に至るまで
当該医薬品の薬価を引き下げる仕組みとすべき
(薬剤自己負担の引上げ)
市販品と同一の有効成分の医薬品でも、
医療機関で処方されれば、
自ら市販薬を求めるよりも
大幅に低い負担で入手可能となっており、
セルフメディケーションの推進にも逆行し、
公平性を損ねている。
(受診時定額負担の導入)
比較的軽微な受診に一定程度の追加負担を求めていくべき

ロ)必要な保険給付の効率的な提供
a)医療提供体制の改革
(地域医療構想の推進)
保険医療機関の指定等に当たり、
民間医療機関に対する他の病床機能への
転換命令等を付与するなど都道府県の
権限をより一層強化すべきである。
病床の機能分化・連携の具体的な進捗管理を
適切に行っていくことも併せて重要
(急性期病床の適正化)
全体としてどの程度、地域医療構想に沿った
病床の再編・急性期入院医療費の
削減につながっていくのか、
適切な KPI を設定した上で進捗を評価し、
必要に応じて更なる要件厳格化等を次期改定において実施すべき
(法定外一般会計繰入等の速やかな解消)
(医療費適正化に向けた地域別の診療報酬の設定)
高齢者医療確保法第 14 条では、
医療費適正化の観点から地域ごとの
診療報酬の定めを行い得ると規定されており、
都道府県が医療費適正化の責任を果たそうとすれば、
その適用の必要性を検討していくことは避けられない。
都道府県における医療費適正化の
取組に資する実効的な手段を付与し、
都道府県のガバナンスを強化する観点も踏まえ、
医療費適正化に向けた地域別の診療報酬の
具体的に活用可能なメニューを国として示す
(普通調整交付金の配分方法の見直し)
(今後の医療提供体制の更なる課題)
地域医療構想や基準病床制度により、
病床については一定の規制を行う仕組みが
整備されつつある一方で、診療所や医師の配置、
高額医療機器への設備投資については、
提供体制をコントロールする仕組みがない。
(外来診療等に係る提供体制の在り方)
かかりつけ機能の評価の整理を行いつつ、
かかりつけ医やかかりつけ薬剤師以外に
外来受診等をした際の定額負担を導入すべきである。
なお、かかりつけ医のかかりつけ機能を
評価するためには包括払い形式とすることが本来は望ましい。
(高額医療機器(CT、MRI)の配置状況)
機器の新規設置や更新の際に都道府県や
医療関係者の協議を経る規制の導入など、
高額医療機器の配置を適正化するための取組を行うべき
b)診療報酬・薬価の適正化
(薬価制度の抜本改革)
(毎年薬価調査・毎年薬価改定)
(次期薬価改定に向けたその他の課題)
(調剤報酬の改革)

ハ)高齢化や支え手減少を踏まえた給付と負担の見直し
(医療保険における後期高齢者の窓口負担の在り方)
まずはできる限り速やかに75歳以上の
後期高齢者の自己負担について
2割に引き上げていくべきである。
その際、現在 70~74 歳について
段階的に実施している自己負担割合の
2割への引上げと同様、75 歳到達後も
自己負担を2割のままとすることに加え、
既に後期高齢者となっている者についても、
数年かけて段階的に2割負担に引き上げるべき
(金融資産等を考慮に入れた負担を求める仕組みの医療保険への適用拡大)
入院時生活療養費等の負担能力の判定に際しても、
介護保険における補足給付と同様の仕組みを適用すべき
(現役並み所得の判定方法)
(支え手減少下での医療費増加に対する総合的な対応)

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