～ 士衛塾空手を通して、伝えたいこと 55 ～

士衛塾山梨の門下生に向けた、私からのメッセージを転載します。

2022年 3月号　士衛塾山梨ニュースより

この間感じたことなどを、こちらに書いています。ぜひ、皆さまご一読いただければ幸いです

■ 世界大会出場権獲得 ■
　1月16日に開催された極真会館主催の第50回全日本空手道選手権大会に出場した中村仁実さん、2023年に横浜で開催される「極真連合杯 世界空手道選手権大会」の壮年女子無差別B（45歳以上）の部の選抜選手となり出場が確定しました。中村さんは、組手の試合は昨年の11月がデビュー戦で、この全日本大会が2戦目となる出場でした。大会は惜しくも敗退してしまいましたが、出場枠の中に入ることができました。
　掴んだチャンス。世界大会では、日本の代表として胸を張って戦ってください。現在進化中です。更なる進化はこれからです！
　世界大会出場権獲得という結果が出るためには、いくつもの選択肢がありました。
　①私たちが、デビュー2戦目、紫帯の中村さんを、この大会にシニア女子階級があるにしても、黒帯と混合の、そして、全日本大会へ出場を勧めるかどうか。
　②それを受け、中村さんが出場するかどうか、でした。中村さんは、これをクリアし、大会出場を申し込まれました。その後、実はこの大会は世界大会の選抜大会であり、シニア女子の選抜枠もあることが判明しました。しかし、大会の直前に、コロナの濃厚接触に該当するかもしれないという事態が起こり、もしそうなってしまった場合、試合の出場は不可能となってしまうところでしたが、濃厚接触者とはならずに、無事に試合に出場することができました。試合では、敗退してしまいましたが。
　③敗退した選手を選んでいただけるかどうか、でしたが、ありがたいことに、選んでいただき、日本代表として戦うことができるようになりました。
　いくつもの選択肢や訪れる障壁をクリアにしたことで勝ち取ったものでした。
　さて、ここで大変面白いのは、もちろん本人の頑張りもありますが、中村さん自身は「絶対に世界大会に出るぞ」と望んで様々な行動を行ってきたわけではありません。ひとつひとつ目の前のことを行っただけです。チャンスは他人から与えられ、Yesと答えたら、ぐちゃぐちゃで困難な道が、スッと整列され、一本の綺麗な道へとなったような感じです。これは、単なる偶然ではなく、必然だったのでしょう。これからも、困難はたくさん出てくるでしょう。しかし、それを乗り越えで行くことが、以前にも増してできることでしょう。
　チャンスは掴み取るよりも、与えられることの方が多いと思います。ただ多くの方は、それをチャンスとして気づかないか、面倒くさい余分なものとして捨ててしまっているような気がします。掴み癖がついた人はチャンスばかりとなり、逆の人には何もないことが続く。変わりたくない人、変えられない人には何も起こりません。

「この試合、出た方が良いですよ」…と、与えられたものを、どう掴むか…とても大事です。

■ 関東マスターズ ■
　また、中村仁実さんです。2月5日に行われた「第5回関東マスターズ空手道選手権大会」デビュー3戦目で優勝しました。おめでとうございます。小野さんも巴戦で1回勝利し、表彰こそ逃しましたが、第2位です。61歳にして、この動きは脱帽です。
　私自身、この大会のトーナメントが発表されて驚きました。シードにはなっているものの、対戦相手は土岐さんか高橋先生。土岐さんは稽古会で手合わせをした際に、やり難いなと思い、試合はしたくないなと思っていました。一方、高橋先生は、12月の新極真会の全日本大会で優勝し、過去にも世界大会でも活躍している輝かしい実績の持ち主。どちらが勝ち上がってきても、負け続きで、気持ちが下降気味で、しかも全部の武器が壊れかけている私には厳しいだろうと思い、気持ちは超ブルーでした…。以下はInstagramとFacebookに投稿したものです。
　【関東マスターズで、対戦させていただいた、高橋道場の高橋先生。もちろん負けました、が、すごい収穫。最近は、試合でも組手でも上手くいかずに気持ちが下降気味でした。今日も気持ちが乗らなかったのですが、高橋先生と対戦させていただき、目が覚めました！試合をしながら楽しくて楽しくて。これだ！と思い出しました。勝ち負けもあるかもしれませんが、この緊張感と真剣にぶつかり合う拳。これが練習では作り出せない試合の醍醐味。試合に出なくちゃ思い出せなかった。出て良かった。高橋先生と対戦させていただいて良かった。高橋先生、ありがとうございました！応援していただいた皆さま、ありがとうございました！】
　髪の毛の量も、顔もすべてにおいて完敗しました。はい( ノД`)シクシク…
　そして、今も私が試合に出場し続けている原点となった先生です。こちらもInstagramとFacebookに投稿したものです
　【関東マスターズにて、精鋭会の西久保先生と写真を撮っていただきました。いま私がこうして試合に出続けているのも西久保先生との対戦がきっかけでした。今から12年前、私が42歳、西久保先生が50歳でした。試合で対戦した際に、肋骨を折られ一本負けでした。その当時「まさか42歳の私が50歳に負けないだろう」と思っていましたが、開始一発目の西久保先生のパンチで、その浅はかな考えはひっくり返されました。「なんて痛いパンチなんだー」。今までにこんなパンチをもらったことはなかったです。すごい人がいる、私も50歳になった時にこんな風になりたいと思ってこれまで努力してきました。そうなれたかどうかは分かりませんが、この時の敗戦が、今でも試合に出続けるきっかけとなりました。西久保先生は「私は何をされても痛くないから、試合では自分のやりたいことをやるだけ」の言葉は今でも私の目指すところです。鋼鉄の身体になりたい！西久保先生には、今でも勝てる気が全くしません。いや、ずっと勝てないです。あの時、あの事があったから、今に生きてくる。そんな事を身をもって体験しています。そして、その時々、対戦させていただいた素晴らしい方々から、色々な元気や勇気や目標をいただいたから今でも試合に出ることができます。真剣勝負って素晴らしい！西久保先生、皆さま、ありがとうございます！】
　これまで、いろいろな人と出会い、たくさん負けてきました。そのたびに、「転んでもただじゃ起きない」と思いやってきました。人生、上手くいくことよりも、上手くいかない、思い通りにいかないことの方が多いです。それを認めて何もしないのか。思い通りにするために努力をするのかで、人生の楽しさが違ってくると思います。

■ 東日本大会 ■
　2月13日につくば市で行われた「第5回東日本空手チャンピオン王座決定戦2022」。コロナ禍で、士衛塾山梨からは多くが欠場でしたが、今回出場した選手たちの成長には目を見張るものがありました。「こんなに上手だったかー!?」という驚きとともに、緊張しながらも一生懸命戦う姿に感動しました。やはり、大会は人を成長させるし、人の成長を見ることができるものだと改めて実感しました。
　出場した選手たちは、大変な状況下でもしっかりと練習をしている子たちでした。きっと、親御さんの努力と生徒の頑張りが成長へと導くのでしょう。真剣に取り組んだ努力は嘘をつきません。
　前田悠冴…毎日顔を合わせている気がします。月曜日は本部で通常練習とその後のフリークラスにも参加したりします。練習量も多いです。
　野崎光生…千葉にいるため、ずっと週2回～のオンラインが中心ですが、基本も組手もしっかりと上達しています。ただ、普段、組手の相手がいないので打たれ弱さは仕方ないのですが、攻撃力は素晴らしい。
　前川輝…練習にもたくさん出てくるようになり、成長の兆しが伺えていました。組手ではそれを発揮してくれました。これから楽しみです。

■ OYAJI（オヤジ）王決定戦 ■
　私、2月5日の関東マスターズに引き続き、13日につくば市で行われた「第2回OYAJO王決定戦」に出ました。
　関東マスターズの後、高橋先生と話をしている中で、来週も試合に出ると…それもOYAJI王…そして、同じカテゴリー…決勝で対戦出来たらいいね、まさか一回戦から当たらないよね…見事に一回戦で当たりました!!大当たりー!!!!! 先週負けた人に、そんなにすぐに勝てるわけないじゃん…とブルーになりました。しかし、先週、あれだけ楽しい組手ができたのも高橋先生のおかげ。再戦がこんなにも早くてまた楽しめる。負けるにしてもたくさん学んでやろうと思い、試合をするのが待ち遠しくてワクワクしていました。もちろん負ける気はさらさらなく当然、勝つ気で挑みました。前回とは戦術を変えましたが、目の前の高橋先生と新たな敵が…コートのマットがすごい滑るぞ…結果、コートにも負け高橋先生にも負け。なんと私は昨年9月のJKJO全日本大会以来6連敗中です。ん!?そのあと5試合も出たんだ。それはそれですごいと自分自身を慰めています。次は3月20日の香川県こんぴら杯。七転び八起きじゃ。
　なぜ、試合に出るのか…そこに挑戦できるものがあるからです。色々な考え方はありますが、私は、空手をやるものとして、男として逃げずに挑戦するべきだと考えます。そして、おやじ空手は　「勝って良し!負けて良し!」と思うようになりました。


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