~ 士衛塾空手を通して、伝えたいこと 38 ~

伊藤龍吾

伊藤龍吾

テーマ:伝えたいこと



士衛塾山梨の門下生に向けた、私からのメッセージを転載します。

2020年 10月号 士衛塾山梨ニュースより

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大から半年以上が過ぎています。東京都が他の県への移動を解除し、Go Toトラベルの対象地域に東京を追加するなど、全国的な移動が推奨されます。また、Go Toイートにより飲食の需要の喚起もされます。これからは、各地域・各施設で感染症対策の徹底と自分自身で感染から身を守ることが求められます。
 秋からのインフルエンザとコロナの状況にもよりますが、士衛塾山梨としては、基本的には年内は大会の参加については様子を見て、来年から参加することとします。当然、主催者には感染拡大防止の対策が課せられますので、それに従ったうえでの参加となります。
 
 大会の参加の予定の無い現在は、練習において、基礎・基本を徹底的に行い、建物の例えると土台と柱をより強固なものへと改良をしているところです。どんな一流の選手でも基本的な練習を疎かにしないように、空手でも同様です。空手の基本は奥深く、技を磨くことに空手「道」としての素晴らしさと美しさがあると私は考えます。一口に基本と言っても、それは幅広く、基本の技、移動稽古、型、組手の基本的な動き、腕立てなどの身体づくり、武器や身体を強化する部位鍛錬が基本に含まれると考えています。武道でいう応用はそれ以外なので、そんなにないと思はずです。基本を疎かにして、応用にばかり目が行ってしまう人は、必ず足元をすくわれます。それは試合内に勝つとか負けるとかという次元の話ではなく、空手道を続けられるか辞めてしまうかということです。日々の稽古で楽しさや充実感を得られない人は、長続きしません。それは空手だけでなく「何をやっても」です。ちなみに、私は稽古が楽しくて仕方ありません。特に自分が教わる立場で参加する稽古です。稽古には新たな発見があります。それは、自分に対する発見です。教わる立場であれば、新たな知識の積み増しもあります。
 忙しくても、疲れていても、稽古をすれば、「やっぱり、稽古してよかった」と思えるから、短時間でも稽古に行きます。自分自身のベクトルを「やる」方向に向けるか、「やらない」方向に向けるかで、結果は180度違ってきます。「何かあると」「やらない」人か、「何かあっても」「やる」人か、それは、今後の生き方や考え方に繋がります。

 最近こんなことを耳にしました。
~なにをやっても許されるようになったら終わり。
私も関係の終わりかけに、よく許された。
失敗して怒られずに済みホッと安心したけれど、よくよく見れば私が相手にとり関心がない人に変わっただけなのだ。~
ベクトルが「やらない」方向に向いている人は、上の状況に特に陥りやすいと思います。やらない理由を探すのが得意な人になります。そういう人は一生懸命にやろうという仲間内からはだんだんと関心がもたれなくなっていきます。
 しかし、空手は自由です。どこに目標や目的を置くかで変わってきます。例えば、黒帯取得を目的としている人がいます。取得まで最短の5年で取っても良いし、10年かけても20年かけても良いです。健康維持で帯にこだわりがなければ、それでいい。稽古のペースも自分で決めることができます。私たち指導者は、それぞれの目標や目的に対して、先頭に出て引っ張るか、後ろから後押しするかです。
 目的や目標によっては、無理をしてする必要はありません。しかし、特に子どもには頑張ってもらいたいと思っています。頑張れるときに頑張る、やるべき時にやっておかないと、大人になって「頑張れない、踏ん張れない」人になってしまいます。頑張り時を逃してはいけません。それは頑張れる人に与えられた特権です。チャンスをチャンスととらえることができる柔軟な頭を持ちましょう。「失って気づく大切なこと、失う前に気づくのは難しい」。そのために私たち指導者が皆さんについています。
 
 魂の入った正拳突きを出すために拳という武器の作り方、その武器を強くする、身体の使い方、操作の仕方を学んだりします。それも長い時間をかけてです。そうやって突きはレベルアップして作り上げていきます。しかし、いつまでも完成はしません。だからこそ努力し続け、時々「こうするともっといいかも」と気づきながら、試行錯誤しながら続けていきます。それはまさに人と関わりを持ちながら生きていくことと同じです。
 
 いま火曜日と金曜日の選手クラスでは、練習が始まる前に3分や5分と時間を決めてテーマは自由にスピーチを行っています。自分で決めた時間にスピーチをまとめること、幅広い年代層の中で話すこと、とても勉強になり、聞く方も面白く聞かせてもらっています。話題も多岐多様で、仕事のこと、学校のこと、自分の好きなこと、漫画のことなどなど、それぞれが自分の考えを語ってくれます。その人の話を聞き、知っているようで知らなかった一面を見ることができ、発表者の素晴らしさを感じています。
 ○○くん。3分でお父さんとお母さんの仕事のことを話してくれたのですが、3分ぴったりお母さんのことだけでまとめました。「お父さんは?」と聞くと「お父さんは、最近忙しくて、夜遅い」。以上!でした(笑)。大丈夫です。そのあとお父さんのこともちゃんと話してくれました。
 聞いているこっちが何だか、ほんわかする温かい話でした。

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伊藤龍吾
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伊藤龍吾(格闘家)

新國際空手拳法道「士衛塾」山梨県支部

世界大会入賞者を多数持つ士衛塾では、初心者から上級者まで、目的に沿った指導ができます。指導者はプロとして自覚と誇り持ち、常に研究と勉強・実践を怠りません。一流の道場からは一流の選手が育ちます。

伊藤龍吾プロは山梨日日新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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