「歯磨きができない自分」を責めないで。完璧主義を手放し、「2勝5敗」で続けるオーラルケア
夜中に突然「顔が腫れた!」それ、虫歯ではなく「根尖周囲病巣」かもしれません
「朝起きたら、愛犬の目の下がパンパンに腫れている……」
「頬のあたりから血やウミのようなものが出てきた……」
そんな突然の異変に、驚いて動物病院へ駆け込む飼い主様は少なくありません。
「人間と同じように虫歯が悪化したのかな?」と思われる方も多いのですが、実は犬や猫のお口のトラブルには、人とは少し違った特徴があります。
お顔が腫れる本当の原因は、お口の奥深くで進行している「根尖周囲病巣(こんせんしゅういびょうそう)」という病気かもしれません。
今回は、獣医口腔医学の知見をもとに、お口の病気がなぜ目や鼻にまで影響を及ぼすのか、その原因と予防方法についてお話しします。
[/リード文]
1.犬や猫に虫歯は少ない?顔が腫れる本当の原因
まず知っていただきたいのは、犬や猫では人間のような「虫歯(う蝕)」は比較的少ないということです。
その理由の一つが、犬や猫のお口の環境です。唾液の性質や食生活の違いにより、人間とは虫歯の発生メカニズムが異なります。
では、なぜ歯が原因で顔が腫れるのでしょうか?
その代表的な原因が「根尖周囲病巣」です。
根尖周囲病巣とは?
歯の内部には「歯髄(しずい)」と呼ばれる神経や血管が通っています。
重度の歯周病が進行した場合や、硬い物を噛んで歯が折れる「破折」が起きた場合、そこから細菌が歯の内部へ侵入することがあります。
そして細菌が歯の根の先端(根尖)まで到達すると、炎症やウミがたまり「根尖周囲病巣」を引き起こします。
骨の中で進行し、やがて外へ出てくる
歯の根元で増えた細菌やウミは、行き場を失うと周囲の歯槽骨を少しずつ破壊していきます。
そして最終的には、皮膚の薄い場所を通って外へ出ようとします。
その結果、「突然顔が腫れた」「皮膚からウミが出てきた」という状態になるのです。
2.なぜ「目」や「鼻」に症状が出るのか?
お口の病気なのに、目や鼻のトラブルと間違われやすい理由。
それは、犬や猫の顔の骨格と歯の根の位置に大きな関係があります。
目の下が腫れる原因になる「上顎の奥歯」
犬の歯の中でも特に大きく、噛む力を支えているのが上顎の奥歯(第4前臼歯)です。
この歯の根は目の下に近い位置まで伸びています。
そのため、この部分で炎症が起こると、目の下の頬が腫れたり、皮膚からウミが出たりすることがあります。
一見すると「目の病気」のように見えても、実は歯が原因だったというケースは珍しくありません。
鼻水やくしゃみの原因になる「犬歯のトラブル」
上顎の犬歯は、根の位置が鼻腔(鼻の奥の空間)に近いため、炎症が広がると鼻の症状につながることがあります。
慢性的なくしゃみ、黄色っぽい鼻水、鼻血などが見られる場合、歯が原因となっている可能性も考えられます。
これらは、お口の健康状態を放置することで起こる代表的なトラブルの一つです。
3.悲劇を防ぐために。毎日の「根元ケア」が大切
お顔が腫れるほど進行した状態では、家庭でのケアだけで改善することは難しくなります。
動物病院での診察や、状態によっては麻酔下での歯科処置が必要になることもあります。
だからこそ大切なのが、症状が出る前の予防です。
歯の表面だけではなく「歯ぐきとの境目」を意識する
歯周病の原因となる細菌が集まりやすいのは、歯の表面だけではありません。
重要なのは、歯と歯ぐきの境目(歯周ポケット)です。
毎日のブラッシングで、この部分のプラークをできるだけ取り除くことが、歯周病予防につながります。
年齢や性格に合わせた道具選び
奥歯まで効率よく磨くためには、使いやすい道具選びも重要です。
角度をつけて奥歯へアプローチしやすい[15度傾斜のブラシ]
https://mindup.co.jp/goods/7404/
指の感覚で優しく磨ける[ゆび歯ぶらし]
https://mindup.co.jp/goods/6918/
など、その子に合った方法で「毎日続けられるケア」を作ることが大切です。
1日数十秒の積み重ねが、数年後のお口の健康を守ります。
専門家からのメッセージ
「突然、顔が腫れた」と感じても、実際にはその前から、お口の中では長い時間をかけて炎症が進んでいた可能性があります。
犬や猫は本能的に痛みを隠す動物です。
痛みを我慢して、限界になってから症状として現れることも少なくありません。
だからこそ、日頃からお口の中を見てあげること、触れる習慣を作ることが大切です。
「最近、奥歯のニオイが気になる」
「片側だけ涙が増えた」
「硬いものを噛まなくなった」
そんな小さな変化は、お口からのサインかもしれません。
毎日の優しいケアを、大切なパートナーの健康を守る習慣にしてあげてください。
[まとめ・ポイント]
・顔が突然腫れる原因は、虫歯ではなく歯の根元の炎症「根尖周囲病巣」の可能性がある。
・上顎の奥歯のトラブルは、目の下の腫れにつながることがある。
・犬歯の炎症は、くしゃみや鼻水など鼻の症状として現れる場合がある。
・歯の表面だけでなく、歯ぐきとの境目を意識した毎日のブラッシングが最大の予防になる。
[/まとめ・ポイント]


