企業の未来を支える、伝統と技術の法人印
職人の腕は、完成した印章を目にしただけでは判断しづらいものです。ましてや遠方からご注文をいただく場合、彫る人間がどれほどの技量を持っているのかは見えません。だからこそ私は、第三者の評価で示せるものはすべて示しておきたいと考えています。
私は大学在学中からプロゴルファーを目指し、卒業後もゴルフ場に勤めながらプレーに打ち込んでいました。職人の世界とは無縁の生活です。それでも年齢を重ねるごとに、伝統工芸士である父が紡いできた技巧の重みを意識するようになりました。高価なバッグや車にも流行があり、いつかは買い替える日が訪れます。物があふれ、移り変わりの激しい現代で、長きにわたり使い続けてもらえる物はそう多くありません。重要な場面で決意を表す、唯一無二の品を手掛ける責任の重さに気づき、貴重な技を途絶えさせてはいけないと考えて、27歳のときに後を継ぎたいと申し出ました。
2013年に家業に入り、背中で語る父を師に、ひたすら手を動かしました。2016年に厚生労働省認定の印章彫刻技能士の二級を、2022年には一級を取得しています。印章技術を競う全国大会である大印展では、2017年に木口角印・小篆の部、2025年に木口密刻の部で、いずれも金賞と賀茂御祖神社宮司賞をいただきました。2026年には第33回技能グランプリで銅賞、第26回全国印章技術大競技会で銀賞を受けています。
父が闘病していたこともあり、1日も早く緻密に刻む技量を養って安心してもらいたいという思いが、自分を押し上げたのかもしれません。父から教わりたいことはたくさんありましたが、試行錯誤する過程で蓄えた知見が、いまの私の糧になっています。3代目二宮岱石の雅号を継ぎ、甲州手彫印章界で最も若い伝統工芸士として、日々研さんを積んでいます。
資格や受賞そのものが、印章の価値ではありません。ただ、私を知らない方が最初の判断材料にできるものではあると思っています。そのうえで実物をご覧いただき、線の一本一本を確かめていただければ幸いです。


