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(一社)日本生産技能労務協会(JSLA)清水竜一会長インタビュー記事

出井智将

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当社が所属しております一般社団法人日本生産技能労務協会(JSLA)の清水竜一会長がアドバンスニュースのインタビュー答えた記事がアップされましたので、このコラムでもご紹介します。

【以下転記】

 4月から一般社団法人となった日本生産技能労務協会(JSLA)の清水竜一会長(50)は、アドバンスニュースのインタビューに応じ、10月施行見通しの改正労働者派遣法や、製造業派遣と請負事業のレベル向上などについて率直な思いを述べた。インタビューは4月6日、行われた。(報道局)

―― 懸案となっていた改正労働者派遣法がようやく3月28日に成立、4月6日に公布されました。事業に大きな影響を与える登録型派遣や製造業派遣の禁止などは削除されましたが、どう評価しますか。





清水 自公政権時代の改正法案提出から足掛け5年の長期にわたる棚上げ状態が続いていましたから、修正を加えていったん着地したことには一定の評価ができると思います。ただ、短期派遣禁止の例外の具体的中身やみなし雇用規定など、派遣先企業はどう受け取るだろうかという懸念は依然として残ります。
 今回の改正の経過を振り返ると、正直言って「あの騒ぎは一体何だったのか」という空しさも感じます。とにかく、もう一度、根本から検討を加える必要があると思います。それには派遣労働者、派遣先、派遣元の声をよく聞いてもらい、ステークホルダー全員が理解、協力できる派遣法でなければなりません。
 また、国会や行政、メディアも法改正さえすれば問題はすべて解決すると思っているフシがありますが、実は現行法に照らしても社会保険や雇用保険に加入させていないといった問題企業は存在しているのが実情です。労働行政の監視機能をもっと強め、法令順守を徹底させるようにしていただきたい。これらについては当協会の「JSLA政策提言2012」にも盛り込んでいます。

―― 厚生労働省の委託事業として製造請負事業改善推進協議会が運営している優良事業者の「認定制度」では、前年度の13社に続いて、このほど14社が認定されました。国会でも「請負企業に対する信頼と安心の品質を保証する好事例」として取り上げられましたが。

清水 業界の社会的な認知度を高めるには、まだまだこれからです。ただ、最近になって、発注者企業から「認定を受けるようにしてほしい」と要請された請負事業者があったそうです。顧客の関心の高まりを感じます。
 顧客企業にすれば、これまで「優良請負事業者の活用を」と求められても、どこが優良でどこがそうでないかを判断する「尺度」がなかった。それが今回、要請(声)が挙がってきた背景にあるのではないでしょうか。
 今年は、昨年5月にJSLAが発行した「製造請負ガイドブック」に、イラストを入れてポイントもわかりやすくし、ブラッシュアップした新たな書籍を近く発刊します。JSLAの会員企業をはじめ、業界各社に広く活用していただき、今後も規模の大小にかかわらず1社でも多くの企業が認定を得られるよう、協会としてもバックアップしていきます。6月頃から全国4カ所でセミナーを開く予定です。

―― 「JSLA政策提言2012」の中で、協会内部でのセーフティーネットの構築を検討していますね。

清水 私たちの業界では、1カ所で50~100人の請負・派遣社員が働いているケースがかなりありますが、生産の増減などによる人員調整があると、単体の請負・派遣会社だけでは他の生産現場にシフトできず、安定した雇用の確保が困難なことがあります。
 そこで、会員専用の「再就職先サポート掲示板」(仮称)というサイトを設けて、会員会社間で就業先を確保し合おうという協会横断型のシステムをイメージしています。
 将来的にはこれを発展させて、請負・派遣社員のキャリア評価、人材育成、中高年層の円滑な転職システムなどの構築につなげることをめざしています。

―― 社会的認知の向上には率先した積極的な活動が欠かせません。その意味で、東日本大震災への協会の対応をどう自己評価しますか。

清水 この1年、「できることはすべてやった」と自負しています。協会内の組織として「被災地区雇用支援センター」を発足させるなど、とにかく就業先の確保に奔走しました。その結果、昨年末までに会員企業17社で5700人近い新規就労を生み出し、被災前まで就労していた従業員の7割ほどの就労回復にこぎつけました。
 また、会員企業の中には「頑張ろう福島!“絆”づくり応援事業」に参画したり、「沿岸被災地 仮説住宅運営支援事業」(岩手)に取り組んだりしているところもあります。
 ただ、被災地域が広いこともあって、入ってくる情報が断片的で、対策を打ち出しにくい部分があることも事実です。復興需要の本格化に合わせて、今年はさらに取り組みを強化するつもりです。

―― 3月6日のCiett(注)アジア地区「リージョナルワークショップ」に出席し、翌日はCiett代表団とJSLA役員・理事が意見交換=写真=しました。どんな印象を受けましたか。

清水 Ciett本部のあるEU(欧州連合)と日本では、労働者派遣を含む労働制度がかなり違うことを実感しました。とにかく、欧州はシンプルで分かりやすいです。
 日本のように規制色を濃くするよりは、欧州のように基本的なことは労使協議の枠組みでルールを模索する方が実態に即した制度になるのではないかと思いました。
 それと、日本は社会的セーフティーネットのあり方を再考すべきではないかと強く思いました。生活保護が最低賃金より水準が高いなど、手厚い部分があるかと思えば、正規雇用と非正規雇用の壁は高いままです。労働力人口の課題を抱えている欧州のやり方は、大いに参考になると思います。

―― 清水会長をはじめとする協会の新体制がスタートして、間もなく1年になります。2年目の抱負を聞かせてください。

清水 当面は改正派遣法施行への対応が課題となります。まだまだ詰まっていない部分もあり、労働政策審議会などの議論にも私たちの考えを反映してもらえるよう努めたいと思います。
 そして、2年目は、業界のコンプライアンス(法令順守)をさらに高め、請負・派遣社員の技術力のレベルアップを具現化させ、社会の認知をさらに得られるような活動と情報発信に努めたい。これに尽きます。


【一般社団法人 日本生産技能労務協会】製造派遣・請負事業の業界団体。製造業などにおける労働者の就業の安定労務管理の安全を図り、あわせてこれらの産業が必要とする技能労務者の養成を行い、産業の発展に資することを目的に掲げる。公益法人制度改革に対応し、今年4月1日から一般社団法人へ移行。事務局は東京都港区芝浦2丁目。略称では、英語の頭文字をとった「JSLA」または「技能協」と呼ばれる。ホームページはhttp://www.js-gino.org/


清水竜一・日本生産技能労務協会長に聞く(上)
「派遣法は理解と協力が得られる分かりやすさを」
http://www.advance-news.co.jp/interview/2012/04/post-113.html

清水竜一・日本生産技能労務協会長に聞く(下)
「社会の認知度をさらに高めたい
http://www.advance-news.co.jp/interview/2012/04/post-114.html


出井智将 拝


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